「こんなことが……。ハッ、そうだ!おい!今、この状況を見てるんだろう!早く助けないか!」
悔しそうにジタバタと暴れる男性は、何かを思い出したように天井に向かって声を荒げる。
不思議に思ってその視線を追うと、建物に設置されている防犯カメラに向けられていた。
ジジジ――。
突然、室内に電子音が鳴り響く。
『仲川教授、見苦しい真似はやめてほしいなぁ、アナタは残念だけどもう用済みです』
その瞬間、クスクスと小馬鹿にしたような声が近くのスピーカーから聞こえてきてきた。
声の主は、ボイスチェンジャーを使っているため、男なのか女なのか、年齢すらもよくわからない謎の人物。
「そ、そんな……」
絶望した様子の男性は、先ほどまでの威勢は何処へやら、身を屈め、フルフルと震えていた。
『さてと、シュガー、話すのははじめましてかな?僕は、ハル。よろしくね』
「……ハル?お前が黒幕なのか?」
少し緊張感のある蜜生くんの声に、動揺していることが伝わってくる。
『ふふ。まぁ、そこはおいおいね。とにかく君にはぜひ僕に協力してもらいたいんだ!それと、今回君のパートナーにも興味がわいたよ。これから楽しみだなぁ。じゃあ、長くは話せないから、今日はこの辺で。また近いうちにね』
それだけ言い残し、楽しげな声はプツッと途絶えた。
一瞬、静まり返った室内。
「……ハル」
蜜生くんがポツリと呟いた時。
ピーポーピーポー、ピーポーピーポー。
大きなパトカーのサイレン音が聞こえ、キキッと外で車が止まる音が聞こえた。



