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「わぁ!たこ焼きおいしーい。やっぱり本場はちがうね」
モグモグとたこ焼きを頬張る美春ちゃんは幸せそうに表情を緩ませる。
「ほんとだね!あ、初奈ちゃんも食べる?」
チーズトッピングのたこ焼きを1つ頬張った私は、少し前を歩く初奈ちゃんに声をかけた。
「ありがとう。じゃあ、1個もらうね。でも、2人ともよく食べるね〜。特に美春はさっき串カツも食べてたのに……。夕ご飯食べれないんじゃない?」
「いやいや、デザートは別腹だよ〜」
「……たこ焼きってデザートなの?」
そんなやりとりを横目に、私は青山くん達と一緒に少し前を歩く蜜生くんへ視線を向けた。
今日は修学旅行1日目。
私達は各々決まったグループに別れて大阪市内の観光をしていた。
6月に入り、梅雨入りしてしまったから天気が崩れることを心配していたのだが、今日は見事に快晴でひと安心。
天気も良いし、色々なお店見て回るのも楽しいな。
絶好の街歩き日和に私も思わず胸が高鳴る。
「ねぇねぇ、次はどこに行く??」
早くもすべてのたこ焼きを平らげた美春ちゃんが近くにあったゴミ箱に空箱を捨てながら声をかけた。
「そうだな。たしか集合時間って15時だったよね?あと1時間かくらいじゃ、近場じゃないと間に合わなくなるし……」
何か良い場所はないかと考え込む青山くんに向かって。
「……あのさ俺、ちょっとこの近くで行きたいところあるんだけどいいかな?」
そうおもむろに手を挙げたのはまさかの蜜生くんだった。



