シュガーくんの秘密のボディーガードちゃん


 新学期が始まってから1ヶ月と少し。

 あの石投げ事件の後は、目立った出来事もなく、わりと平和な毎日が続いていた。

 放課後はほぼ毎日、秘密部屋で作業に取り掛かる蜜生くん。
 その際は私も同行し、彼の側で護衛にあたる。

 教室では、毎回、前後左右の何処かになるように仕組まれていて(これは山内先生の配慮らしい)。
 今は、私の後ろの席に蜜生くんが座っていた。

 とまぁ、そんなこんなで私も「専属お世話係」という名のボディーガード生活にだいぶ慣れてきた頃。

 事件はとある日の自習時間に起こった。

「皆、今日は、6月にある修学旅行のグループ分けをするからな〜」

 山内先生の言葉にクラス中がザワつく。

 修学旅行!そろそろだと思ってたけど今日話し合いするんだ……!

 私たちの中学校は、6月の初めに中学3年生全員で行く二泊三日の修学旅行がある。

 場所は、大阪・京都。

 県外への旅行ということもあり、3年生にとってはビッグイベントの1つだ。

 ちなみに、初奈ちゃんや美春ちゃんとは「そろそろ修学旅行の話出てくるかなぁ」とつい先日も話をしたばかり。

「絶対一緒のグループなろうね」

 ワクワクした様子の美春ちゃんが、私と初奈ちゃんに向かって口パクをしている。

 そんな美春ちゃんに向かって笑顔で頷いていると。

「蜜生くん、一緒のグループなろうよ〜」

「え!ずるーい。私も一緒がいいのに!」

 後方から、キャッキャッと盛り上がる女子生徒の黄色い声が聞こえてきた。

 あいかわらずモテモテの蜜生くん。クラスでも可愛いと人気の女の子達から声をかけられているようだ。