そっか、そうだよ。佐藤くんも私と同じなんだ。
14歳で大学に行ってたり、誘拐されそうになったり。
きっと、佐藤くんのほうが私以上に周りから好奇な目で見られてきたはずだ。
「……佐藤くんの言う通りかも。私、ちょっと周りの意見に左右されすぎてたのかもしれないね……」
なんだかそう理解した瞬間、ふっと肩の力が抜けた気がした。
すぐには無理かもしれないけれど、せめて初奈ちゃん達には昔の自分についていつか打ち明けられるようになりたいな。
「ま、自分のペースで頑張んなよ。でも、そういう理由ならボディーガードは難しいか。俺としては残念だけど、他をあたるしか……」
「ううん。私、ボディーガードやるよ」
佐藤くんの言葉を遮って、私は彼に向かってそう言い放つ。
「いいの……?」
驚いたように口を開いた佐藤くんに向かって、私はコクリと頷いた。
「私ね、今まで自分が普通と違うからダメなんだって思ってきたの。でも、今日佐藤くんが俺は良いと思うって言ってくれて本当に嬉しかった。だから、そのことを気づかせてくれたお礼ってことで。……あ!あと、佐藤くんよりは確実に強い自信もあるから」
ふふっとからかうように微笑む私に少し面食らった様子の佐藤くんだったが、次の瞬間には。
「まぁ、たしかに腕っぷしで勝てる気はしないけど……」
フッと綺麗な笑みを浮かべ、私の方へとゆっくり歩いてくる。
ニコニコと笑顔のはずなのに、なんだかちょっとだけ不機嫌そうなオーラを感じるのは私の気のせいだろうか?
どんどん近づいてくる彼から、一定の距離をとるようにソロソロと後ずさる私。
けど。
……!!
最終的に、部屋の壁際まで追い込まれてしまった。
目の前には人形のように綺麗な佐藤くんの顔があって、不覚にもドキドキと胸が高鳴る。
「え、えと……佐藤くん?」
ち、ちょっと近くないですか…!?
思った以上に近い距離と、逃げ場のない状況に頭の中は大パニック。
そんな私をよそに、佐藤くんはスッと耳元に顔を近づけたかと思うと。
「俺は、俺のやり方で、詩桜のこと守る自信はあるから……そこんとこよろしく?」
そんな言葉を囁くものだから、男子に免疫のない私は思わず顔を真っ赤にして言葉を失ってしまった。



