離婚してから始まる恋~念願かなって離婚したら、元夫が私を追いかけて辺境までやってきました~

エルミラスを見つけるのは簡単だった。
エルミラスがいる一帯だけ、
今まで見たことがない七色の閃光が飛び交っているのだ。
さすがは大賢者と称えられる魔法使いである。

「エルミラス様っ!」
いくつもの閃光を掻い潜り、
ミレイナはエルミラスのそばに駆けつける。
「ミレイナ、お主も来たのか。」
エルミラスはミレイナに声をかけるものの、
杖を振るう手を停めることはない。
その顔は険しく、威厳に満ちていた。

ミレイナにとって、
エルミラスは何でも知ってる
物知りで面白いおじいちゃんだった。
けれど今は、
いつも冗談ばかり言って、
ニコニコと笑っている好々爺はいない。
長い刻を生きる中で刻まれた深い皺に
いくつもの汗が滴り落ちていた。

「エルミラス様、お下がりください。ミレイナが変わります。」
この言葉をミレイナは言うことが出来ずにいた。
ミレイナ自身、
ヘルミスタ国の中では非常に優秀な魔女だ。
けれど、エルミラスのそれとは雲泥の差である。
自分に代役が務まるとはとても思えなかった。

一方、
敵も馬鹿ではないので、
なんとかエルミラスを討ち取ろうと
攻撃の照準をエルミラスに向けて来ている。
あの巨大な鉄の塊の侵攻を防いでいるのは、
エルミラスのおかげと言っても過言ではない。
エルミラスを守るために、
ミレイナは懸命に杖を振るうのだった。