時間になり、
エレオノールはエドリックと合流した。
いつもなら、
挨拶を一言交わした後は
淡々と事務作業を゙こなすかの如く
(エレオノールはロボットみたいと思っていた)、
特にエレオノールに関心を向けられることは無いのだが、
この日はエドリックの視線をやたらと感じる。
何か言いたいことがあるのだろうかと
エレオノールがエドリックに視線をやると
そそくさと顔を背けるので
気まずい沈黙が2人の間を流れた。

その後は特に会話することもなく、
ノルヴァンド王国の国王夫妻を伴って、
いよいよエレオノール最後の晩餐会の幕が開いた。

「今日のエレオノール殿はいつになく華やかですなぁ。」
晩餐会の席で
ノルヴァンド国王フレデリックは
エレオノールに話しかける。
「真面目だけが取り柄の堅物国王と離婚できるとあって、エレオノール殿も吹っ切れた感じですかな。」
「もう、なんてこと言うの!」
ノルヴァンド王妃ウジェニーが
すかさず夫を嗜める。
「我が国は恋愛が盛んだ。色男たちとの恋の駆け引きを楽しみたければ、ぜひ遊びにおいで。」
「エレオノール様はこれからのことをもう何か決めておられるのですか?」
「そうですね。とりあえず国に帰って、長らく会えていない友人達に会ってのんびりしようかと。」
ノルヴァンド国王夫妻とエレオノールが
楽しく談笑する中、
エドリックただ一人が黙りこくっていた。