離婚してから始まる恋~念願かなって離婚したら、元夫が私を追いかけて辺境までやってきました~

【エレオノール視点】

戦争が始まって以来、
エレオノールは歯がゆい日々を過ごしていた。
戦地から届く報告では、
戦況悪化しているわけではないものの、
勝利が目前というわけでもないらしい。

ヴァリニアの王妃であった頃、
規模が違うにしても
エドリックが戦地に赴くことは何度かあったように思う。
けれどその時は戦争がまるで他人事で
夫の無事を祈ったことなんて一度もなかった。
気がつけば夫は帰ってきていて、
何事もなかったように変わらない日常が再開された。

(皮肉よね。夫婦の時は気にも止めたことなかったのに、赤の他人の今は毎日心配している。)
戦争だから当然死者は出る。
毎日運び込まれてくる遺体を目にして心が痛むが、
それと同時にその中にエドリックの姿がないことに
安堵してもいた。
気がつけばライガンへの気持ちは雲散霧消し、
最近はエドリックの心配ばかりだ。
それを恋や愛と呼んでいいのか分からないが、
自分の中でライガンよりエドリックの存在が
大きくなっているのは事実だった。
(戦争の前夜、バルコニーで見たあの切ない瞳が頭から離れないんだもの。)
不安な気持ちを紛らわせるために、
エレオノールは今日も無心で
ミレイナのサポートに徹するのだった。