エレオノールがヴァリニア王国王妃として返り咲いたのは
ガブリエルの結婚式からちょうど1年後のことだった。

別れ際の約束通り、
エドリックは急ピッチでエレオノールを迎える
準備を終わらせたのだ。
ハーレムの女性たちもそれぞれが
幸せな第二の人生を歩んでいるようで
エレオノールもひと安心だった。

「このティアラってこんなに重かったかしら?」
披露宴が終わり、
国王夫妻の私室へと戻ったエレオノールは
頭に燦然と輝いていた総ダイヤモンドの見事なティアラを
そっと外した。
離婚してアルドヴァール大公国に戻った時は
まさかこれを再び頭に乗せるなんて思わなかった。

一度離婚したヴァリニア国王とアルドヴァール大公女が
再び結婚するというニュースは
近隣諸国を瞬く間に駆け巡った。

破竹の勢いで勢力を拡大していた
ドラゴニア帝国を打ち破ったことで、
エドリックの株は急上昇。
妻がいないということで
年頃の娘を持つ王家、
特にドラゴニア帝国からの干渉に苦しんでいた国は
なんとか娘をヴァリニア王国へ嫁がせたいと
躍起になっており、
落胆の声がそこかしこであがったという。

披露宴の席でも祝福とともに
負け惜しみのような声も聞かれ、
エドリックとエレオノールは苦笑いするばかりだった。