それでも文句も言わずに、ハルはそのまま私を外まで連れ出した。
外は月明かりで、部屋の中ほど暗くはない。照らす必要もないので炎を消してハルを見る。
「散歩でもするかー。」
「うん。」
降ろしてもらって、桜並木の中を歩く。
花は咲かずとも凛とした木々達に、私の心もすっかり落ち着いて行く。
「すごいね、本当に千本あるの?」
「この辺の地名がソルでは千桜らしいから、恐らくそうだろうと思ってる。」
「素敵な地名だね。」
「リンが来れば咲くんだと思ってたんだけどな。」
ハルは私を何でも魔法使いだと思ってるのかな。
属性炎なのでお花は専門外ですよ。
「…でも、もうすぐ咲くと思うよ。」
「リンの誕生日に咲かねえ花は花じゃねえ。」
「お花に理不尽言わないでー。」
それに、本当に開花は近い…気がする。
「そういや舞は?」
「あー練習はしてないけど、型は記憶したから。出来るか分かんないけど。」
「…見たい。」
見たいと言われても。
音もなければ、舞らしい小道具も持ってない。
「うーん。記憶はしたものの…。」
「ダメか?」
「ハルのお願いは断りにくいー。でも音がないから、ここはハルの力を借りよう。」
私は知ってる。
ハルは確かに太陽に愛されているが、ハルの本質は風だ。
その風の流れに身体を乗せる。
音楽に乗せて動くよりも、私にはこっちが簡単だろうと思っていた。
だって、ハルの風はこんなにも美しい。
そんな綺麗な風を、私は読み取る力を持っている。そして、そんな風はいつも私を包んでくれる。
初めての舞だし、ちょっと自信もなかったし、恥ずかしくなったから私は割とすぐに動きを止めた。

