コーヒー準備に取り掛かったるう。
しかしハルは口を割ろうとはしてくれない。
「敵将のハゲさん強かった?」
「…別に。」
「ソルの王都からは離れてたよね?どの辺で討ったの?」
「……。」
ハルが大将戦をしていた場所は、王都からは少し距離があった。
今後また各地移動する私としては、その場所は知っておきたいと…思っているだけなんですが。
「はーるー?」
「……。」
「…何?どうしたの?」
いつもと明らかに様子の違うハルに、思わず心配までしてしまう。
そんなに強かったのか?場所を言うだけで何を渋る?
「う…討って、ない。」
「…うん?」
「人違いを…しました。」
「…はい?」
ようやく口を開いたハルから出た言葉は、耳を疑うようなそんな言葉。
あのハルが、討てなかった?
そして人違いって何?
「…えー。つまりソルの第一将を討ったけど、それが結果別人だったって解釈で合ってる?」
ハルの言ってることを何となく繋ぎ、私の導き出した解釈を述べるとハルは小さく頷いた。
「…ハル腕落ちた?」
「っ!?」
「何してんの?」
「…ごめんなさい。」
これは予想外。
復帰戦とは言え、このハルが討ち損じるとは。
「…もしかしてハル、混戦の中で討った?」
「はい。」
「その時敵は後退してた?」
「はい。」
…なるほど。
ハルは人違いをしたんじゃない。
故意に替え玉を討たされたんだろう。
「嫌な敵だったねー。」
「…もう一回討って来ます。」
「ううん。ここはもう深追いは止めよう。」
「許してくれるか!?どうすればいい!?」
私は敵の全貌が見えているわけではない。
自分に似た人間を初めから準備していた周到さ。それを迷わず配置出来る残忍さ。
「…この判断は任せよう、シオンに。」
「…あ?」

