るうの殺気を感じ取り、私は慌てて何か他の話題を探す。
「…されたのって、コレか?」
「あ。」
るうが私の襟を少し巻くって、一点首筋に付いた歯形を指差す。
それはアキトの前菜らしいもの。
…食べられかけたのを思い出した。
「〜っ、あ、アキトお腹空いてたのっ!」
「…で?」
「お、美味しそうに見えた…のかな…?」
「…で?」
この懐かしい人を追い詰める問い掛け。
ここまで残るほど強く噛み付いたアキトに、私もここで怒りを覚える。
「っ!」
「お前はそれを許したのか?」
その首筋にるうが触れる。
距離感距離感距離感。どこ行った距離感。
「許すわけっ…!」
許すわけがないと。
再燃した怒りを言葉にしようとして、るうから離れると。
不意に視線が交わった。
るうの目があまりに真剣で、悲しそうにも切なそうにも見えるもので言葉が詰まる。
「…何だよ。」
「…いや、私…ごめん。」
「何に謝ってんだよ。」
そんな顔させてごめんって意味だよ!
そう言いたいが、私への気持ちに終止符を打ったるうに対して失礼にはならないだろうか。
「信じられないくらいモテモテでごめん。」
「……。」
「もうね、魔女レベルで好かれる。お外は不思議だね。」
「…頭大丈夫か?」
失礼だな!?
私だってこんな苦し紛れのあってほしくない事実は述べたくありませんよ!?
あなたの気を紛らわせようとしてるんだよ!?
…やり方間違えたか???

