「ねえ、ルイ。」
「あ?」
「ルイはどうして黙認してるの?」
「黙認?」
そこにおーちゃんも割って入る。
「何でお嬢をあの場所から出さへんねん。」
「……。」
私をハルから解放すべきだと。
二人から不運にも責められるるう。
「…まあ、俺は餓鬼の頃から見て来たし。」
「異常やって分かるやろ。」
「…それでも俺には、ハルがやってることが間違いだとは思えねえ。」
「どう見たって間違ってるわ。お嬢に自由はないんやで。」
その異常さを、幼い頃から見て来たるう。
だけど、心からハルは間違っていないと思っている。私に自由を与えないことが正解だと思っている。
「かなり昔はな。リンはハルをちゃんと兄だって呼んでたんだ。」
「それが何やねん。」
「ある日を境に、ハルって名前で呼ぶようになったんで。俺はハルに理由を聞いたことがある。」
それは私の記憶にも残っていないほど、遠い昔の話。
「…妹の願い一つ叶えられない自分が、リンの兄にはなれねえんだと。」
「……。」
「アキトには言った気もするけど。リンにとって、ハルの代わりはいねえ。見てたから分かるだろ。」
おーちゃんとトキ。
その二人を宥めるように、るうは出来るだけ優しい言葉を選ぶように心掛けていた。
「ハルだけが、リンの居場所なんだ。」
言葉を返せば。
ハルがいない場所には私は存在しないことを意味する。
長年連れ添ったるうだからこそ、その痛みも苦しみも一番近くで見ていた。
双方を見た上で、正しいのはハルだと答えを出していた。
「何ならハルに全て押し付けて、見て見ぬふりして来た俺の方が罪は重い。」
「…もう、アレンデールは一回滅ぶべきやで。」
「それを嫌がるのが、他でもねえリンだからな。」

