同じく殺気を溢すおーちゃんに、ハルは笑う。
「どうせ俺には勝てねえよ。」
「また見た目で判断しよって…!」
「見た目って何だよ。お前の見た目に興味はねえ。」
「持たれたくもないわ!」
キャンキャンと吠えるおーちゃんに、珍しくハルが真剣に言葉を投げた。
「不思議だな。リンを無意味に大事に想う奴程、俺には勝てねえように出来てんだから。」
「それはお前がっ…!」
「別にそこは俺の知ったことじゃねえ。そっちの問題だろうが。」
シオンがハルを残酷だと言うのは、そのせい。
このハルの狂気にも似た愛が、敵の動きを鈍らせる。
「俺を殺せばリンが死ぬって、勝手に臆して自滅してくれるなら結構なことだ。」
「…最悪やな。こんな兄貴マジでお嬢が不憫やわ。」
「悪いが兄としての立場はとうに捨てた。」
「もっと最悪や。歪んだ感情に勝手に巻き込みよって。」
おーちゃんから放たれる殺気は、止まることを知らず。
その殺気がまた、面倒事を呼んでしまう。
「おい、ハル何やってんだ。」
「…ルイてめえ。」
「あ?」
「リン離すなっつったろ!?何してんだてめえは!?」
殺気が飛び交うのを案じて来たるうは、可哀想にも怒鳴られる。
「リンなら一人で上に行った。」
「一人で行かせねえようにお前に預けたんだろうが!?」
渋々立ち上がり、頑なに入らなかった店内へ。
今度は偉そうにズカズカと入る。
一応中にいるアキトとトキには目もくれず、一目散に上階へ上がろうとするハル。
「ハル待てコラ。」
「もうお前には頼まねえ。渡した俺が馬鹿だった。」
「馬鹿は否定しねえが、リンならたぶん…」
ハルを引き止めたるうだが、大きな物音に言葉を遮られる。

