この状況で、どう寝ろと…?
ハルは頑なに店内に入ろうとはせず、逆にるうは行ってしまって。
「…寝れねえか?」
「無理。」
「…おいルイ!リン連れてけ!」
寝るのは無理だと言うと、るうを呼び戻す。
「お前はどこまで自由だよ。」
「ルイ、離すなよ。」
「じゃあ一生離さねえ。」
「ふざけてねえで早くしろ。」
ハルは私をるうに手渡し。
るうは私を抱えたまま店の中に戻る。
それを見送ったハルは酒場の外に居るまま、その場に腰掛ける。
「…やっぱ、お嬢がこの国におるん嫌か?」
そんなハルにカイが声を掛けた。
「あ?」
「随分嫌ってそうに見えるで?」
「…どうせ遅かれ早かれリンは導かれるんだろ。」
この国に、私は導かれると。
「だが確かに言う通りだ。」
導かれ、際限ない波に呑まれるくらいなら。
「この国だけは外してくれとは思ったな。」
「…正直な人やな。」
「別に些細なことだ。俺は神にも負ける気はねえからな。」
「さよか。」
カイと話すハルに次に近付くのは、先程るうと言い合いをしていたおーちゃん。
「…これが、鬼人か。」
「…うぜえ国だ。見せもんになった覚えはねえぞ。」
「どないする気なん。」
るう以外、ハルと私が揃うところを初めて見た。
るうはもうずっと見て来たので、そこに何の違和感も感じないが。初見の人間はそうではない。
「こんだけ縛り付けて、お嬢の未来を潰す気かって聞いてんねん。」
「……。」
「お前、自分が何してるか分かってるん?」
「…あーうぜえ。」
ハルはおーちゃんと会話をする気はないようで、ただ空を見るだけ。
それがまたおーちゃんを怒らせる。
「お嬢が苦しんでるの、全部お前のせいやったんやな。」
「……。」
「分かっててやってるんやったら、本気で奪いに行くで。」
「…奪う?」
その時、ハルは空からおーちゃんへ視線を移す。
「俺から、リンを…奪うって?」
「そうでもせな、このままにしてたらお嬢は一生お前に囚われたままやん。」
「俺は離す気はねえ。それでも奪いてえなら、死ぬ気で来いよ。」
ハルはまた空へと視線を戻す。
しかし、明らかな殺気がおーちゃんへ向く。
「万が一俺を討てたとしても、リンは手に入らねえがな。」
「そう仕向けてる奴が何言うてんねん。」

