こんなに心配してたら私までハゲそうだ。
やめよう。大丈夫。
きっと明日になればハルはアレンデールの地に帰って来るはずだ。
「でも勝ったんだし、あんまり遅ければ私お迎えに行こうかな。」
「そうしろ。じゃねえとお前の顔がキツい。」
顔がキツいとは。
とんでもない暴言だな。
「今のは、鬼人が心配でずっと悲しそうなリンの顔を見てるアキトの心がキツいってことだよ。」
「ああ!?」
「馬鹿なアキトの代弁してあげた。」
「いちいち代弁するな!?」
…そんなに、私は。
もう、どんな顔をしているんだろうか。
最後の最後まで心配と迷惑を掛けている事実に、また少しへこむ。
「よし!飲み直そう!!!」
「お、良いじゃねえか。賛成。」
宿でも飲み直したんだけども、この二人は夜通し馬を走らせてセザールから来たそうで。
飲んでる内に眠そうに見えたので、横になるように勧めるとすぐに夢の中へ旅立って行ってしまった。
仲良く眠る二人を見ていると、自然に笑みが溢れる。
私は宿でお風呂を借りて、何なら温かそうな寝衣まで借りて。少し夜風を浴びるために外に出る。
「あーあ。」
酔いたかったけど、寧ろ冷めてしまった。
ハルの音を聞きたいと思ったが、何故だか今は少し聞くのが怖くて。
信じて、待つ。
出来たのかは怪しいが、それでも最後くらいは信じたいじゃないか。
「…苦しい、な。」
ハルが戦に出ている時は、息が思うように出来ない。
さっきみたいに馬鹿みたいに楽しくお酒を飲んでると、生物的本能で無意識に呼吸出来たのにな。
髪の毛が徐々に乾き出した頃、ようやく宿に戻った私は部屋の片隅で一人。
もう目前の春を待っていた。

