可哀想に。
おーちゃん優しいから、楽しそうに戦うアキトを見て断れなかったんだろうな。
「それで、リン。割と本気で聞くけど、エゼルタの城に乗り込むの決定なの?」
「決定っ!」
頭を抱えて、止めても無駄だと悟ったトキが質問の方向性を変える。
「…いつ?」
「まだ決まってません。」
「シオン知ってるの?」
「たぶん知りません。」
「たぶんって何。」
「シオンと最近会ってないし。話してないし。」
エゼルタ王を味方にしようと言うザックリとした作戦名しか話してなかった気もする。
トキにはそこも言ってないけども。
「それで?殴り込んだその先は?」
「先?」
「今のリンが行っても普通に入れないからね?王城だからね?」
「あ、そこは大丈夫。正々堂々正面からお邪魔したいと思ってます。」
「…つまり、アレンデールに帰るの?」
「まだ帰らないけど。捨てた名前を、美味しく利用するだけだよ。」
本当、都合の良い王族ですみません。
アレンデールにそこまで迷惑は掛けないつもりだが、あとは結局エゼルタの出方次第だな。
「もっと細かいところも聞きたいんだけど。」
「うーん。それは内緒。」
「頑なだね。リン可愛くない。」
「知ってるー。」
可愛いトキからすれば私など底辺。
「鬼人もう帰って来るんだよなあ?」
「……。」
「あ?何で黙るんだよ?」
「…良く分かんないことが多くて。」
今回のこの戦。
あの暗雲はまだその場に留まり残ったまま。
ハルが無駄に拘った城。
私が気を揉むのも分かっているはずのハルが、城のるうに援軍要請。
ハルがちゃんと帰って来るのは分かっているのに。どうしてか、私の胸の雲も晴れない。

