診察だけ終えたレンはそのままセザールへ蜻蛉返り。
アキトとトキは酒場に居座り続ける。
カイとおーちゃんはそれを見守るしか出来ず。
そんな状況に一番に我慢出来なくなったのは、やっぱり一番うるさいアキト。
「…俺行って来る。」
「あのさ、人のお宅で勝手なことしない。宿取ったんだし今日起きなくても明日会えるよ。たぶん。」
そのトキの言葉を聞いて、明日も来る気かと内心げっそりしてしまうお店側の二人。
「まあ別に上がるんはええよ。」
私の部屋に行くことを家主のカイが許可。
「よし!じゃあ行って来る!」
「リンは調子悪いの忘れないでね。起きてすぐに手出したりしないでよ。」
トキも行こうかと思ったが、ここ最近私に会えていないアキトを気遣い遠慮して。
釘だけ刺すことに留めた。
上の階に一人、上がって来たアキトは私の眠る部屋に入り意外と静かにしている。
「……。」
別に、声を掛けるわけでもなく。
ただ傍に座って、アキトは私の手を握っただけ。
「は…る……?」
握られた手から、ハルに良く似た温もりを感じ取り。
私が目覚めるのに時間は掛からない。
「っ…!?」
その温もり一直線に飛び込んだ私。
驚きながらも咄嗟に支えたアキトは流石です。
「っはる…。」
「…おい。」
「…?」
「ちょっと会わねえ間に大胆になったなあ?」
…あれ。
「…何だ、アキトかー。」
「何だとは結構だな。」
本当に迷惑なくらい似ていて困る。
ハルだと完全に油断した。
油断したが故に、一度緩んだ涙が止まらない。
「…っ。」
「会って早々泣くな馬鹿。」
そう言いながらも強く抱き締めてくれるその腕が、またハルに似ていて泣けてくる。
「めちゃくちゃ元気だったぞ、鬼人。」
「ほ、んと?」
「もうな、言葉では言えねえけどな。あれなんだよ。やっぱ凄えんだよ。」
「全然、わかんないっ…。」
観戦に行っていたアキトが、ハルの様子を伝えようとしてくれるが理解は出来なかった。
そして何も言わずとも泣いてる理由が筒抜けなのが恥ずかしい。
「とにかく大丈夫だ。世界一最強の将軍だ。負ける道理がねえ。」
「…だね。」
やっぱりアキトは強い人だ。
私よりも力強く、ハルは負けないと言ってくれる。
「さて、寝起きで悪いな。」
「…?」
「もう随分会わなかったもんで、溜まりに溜まってる。」
「っん…っ!?」
突然降り出すキスの雨が、私の涙を拭い去る。
寝起きで、未だ何故ここにアキトがいるのかも現状把握出来ていないと言うのに。
今は何も考えるなと言わんばかりに押し寄せる。
「っぁ…、やっ…!!!」
アキトってそうだった。
邪の総大将だった。キングオブ邪だった。
私の意識のないところで、既にベッドに組み敷かれていたため。
手も足も出せないが、私は無意識に身体に多大な力を込め過ぎていて。ここで更に不運にも装具が発動して私の身体をより拘束する。

