この身体能力は、最早神技だ。
「あー焦った。」
「…捕まえたから私の勝ち?」
「は?あーそうやな?こんなにあっさり捕まったん初めてやわ。」
焦ったと言う割には全然そんな風に見えないおーちゃんが、楽しそうに笑う。
「俺がおる場所分かったん?」
「え、あ…うん。」
「ほんで待ち伏せか。作戦としてはええけど稽古としてはあかんな。かけっ子にならへんやん。」
「…ごめんなさい。」
そうだった。
走りもせず飛び出しただけ。何をしてるんだ私。
「けど、その瞬発力は褒めて然るべきやな。身体動かんやろ。」
「うん。」
ここを乗り越えなければ、力は手に入らない。
ならば私は、意地でも掴みたい。
「おーちゃん。」
「どしたん?」
「大丈夫だから降ろしてー。」
言われた通り、私をその場に下ろす。
そして私は人通りがないのを良いことに、手元に残っている剣を抜く。
「ちょっとだけ力借りるよ、るう。」
…何が何でも追い付いてみせるから。
いつかまた二人で、まだ、隣で戦えるように。
「お見苦しいけど許してね。」
私はその剣で自分の腕を斬り付ける。
この痛みで、重さが緩和された気がするのは大きな勘違い。ただ思い込みたい。
戦場を思い出したかった。ここは痛かろうが辛かろうが、逃げられない戦場だと思えば、退路はない。
「よし。」
「何がよしやねん!?何してんねん!?」
「あ、止血だ。」
そんなに深くは斬ってない。
ただ気合いを入れ直したかっただけなのに、おーちゃんが心配するので一瞬だけ炎で止血する。

