私とおーちゃんの会話を、お兄様が不思議そうに見る。
「お嬢ちゃん、もしかして瞬兎見るん初めてなん?」
「しゅん…と…って何?」
「ハニーの異名。」
知らないよ。
見たことないよ。
「俺の自慢の弟なんよ。」
おーちゃんの頭にぽんっと手を置いて、髪の毛をわしゃわしゃの撫で回すお兄様。
「きっしょ。」
「ハニーは変わらず可愛えな。」
「その呼び方やめろや!?」
「それよりこの子に剣教えるん?重抜きするってそう言うことやんな?こんな可愛え子戦わせるん?」
「まあ。教える言うても俺は大したこと出来ひんし。双剣の扱いくらいは…な。」
お兄様がじっとおーちゃんを見つめて、今度は真剣な声色で話す。
「お前が決めたならええけど。責任は取りや。」
「……。」
「まさか無責任に教えるつもりなん?」
「…言っとくけど、既に化け物並みの強さやで。このお嬢。」
「アホ言うな。こんな美少女が虫一匹殺せるわけないやろ。」
…私のイメージ美化されすぎてる。
けど、お兄様には申し訳ないが。もう気になることが沢山ありすぎて、さっさと仕事していただきたい。
「お兄様。」
「うっ…!!!」
「恐れ入りますが、この剣よろしくお願いします。」
「な、なんて礼儀正しい子…!」
私はお兄様にハルの剣だけを手渡す。
「お嬢もう一本は?」
「…こっちはいいの。こっちは右で使うから、左だけ軽くなればまだ動きやすいし。」
「右はそのままの重さでって、バランスいけるか?」
「無理ならその時に考える。」
そんなことより今は、おーちゃんの瞬間移動について追究したい。
もし、さっきのが人間業なのだとしたら。
私にとってこれ程の吉報はない。

