下にいる面々は分かっている。
確かに、綺麗で可愛いお顔が盛り沢山に違いないんだろうが。
その中にトキがいる現実に、また怯えつつ。
恐る恐る私は下の酒場に顔を出す。
「おはよー。」
「お嬢、おはようさん。」
挨拶を返してくれたのはカイ一人。
「体調どない?」
「なんか怠いけど、まあ何とか。」
「今日は一段と可愛えな。」
「あー…うん。この意味不明な雰囲気は何なの。」
和かなカイ。
黒い雰囲気を纏ったトキ。
私を見たまま動かないシオンとおーちゃん。
…怠い身体がより重くなる。
「リンやっと会えたね?」
「…はい。」
「前回は近くに居たのに会えなかったから悲しかったよ。」
「す、すみません。」
まず口を走らせたのは我らがトキさん。
「謝って済むことなの?もしかして、シオン口説き落としたら許して貰えるって本気で思ってた?」
「思って…ました。」
「俺はそんなに甘くないよって、口で言っても分からないリンには身体で教えようか?」
「っ!?」
いつの間にか立ち上がって目の前に居るトキが、私の超至近距離でニコリと笑う。
「あれ?リン疲れてるって本当なの?」
「…へ?」
「本当にちょっとしんどそうじゃん。」
「そ、そうなの!ちょっと疲れてて寝不足で!それに身体も怠くて!」
逃げの口実が良いところに転がってた!!!
「仲直りのお菓子も買ったの!一緒に食べよっ!」
「…あーあ。全部どうでもいいから本来なら縛り上げて城に連れて帰るんだけどな。」
「ど、どうでもっ…!?」
私の体調もお菓子もどうでもいいと言い放ったトキを見ると、その表情はとても困っている。
私は何故だか分からなくて疑問符が浮かぶ。
「アキトの大切なリンだからね。体調悪いとこに追い討ち掛けられないし、戦のことも…シオンのためだったんでしょ?」

