別れたのかと聞かれても。
元々政略結婚で、気が付けば婚約させられて。流れで結婚まで行き着いて。
そのまま私達の関与しないところでなかったことになっていた結婚話。
「別れるも何も…?」
「リンは実感ないまま結婚しちゃったもんね。」
「だって戦の準備と婚儀の準備はほぼ並行してたし?結婚実感する暇なかったよ?」
「戦の方にどうしても意識が行ってたしね。」
そりゃあそうでしょう。
あの規模の戦で、間違っても負けられない戦だったし。
「戦と婚儀を並行て、お嬢大変やな。」
「人生に一度くらい結婚する経験出来て良かったんじゃない?」
「何で他人事やねん。」
「だって目まぐるしすぎて記憶も曖昧だもん。」
もう二度と経験することないだろう。
「次の結婚は?」
「…あのさ、何回も言うけど結婚はもうするつもりないんですー。」
おーちゃんは面白くなさそうに膨れる。
その顔も可愛い。
そんなおーちゃんが何か思い出したようにハッとして、私に手を差し出した。
「早めに返さなあかんかった!」
その手に握られていたのは、私が預けていた将印。
「…あー。今は見たくなかったー。」
「は?」
桜と椿が描かれた二つの将印。
私は受け取って、また自分の首に掛ける。
「何か予約票みたい。」
「予約?」
「…何でもないー。」
来世分と、再来世分。
生まれ変わった後ならば、私は幸せな結婚生活を送れるんだろうか。
…今は興味ないけども。

