ニコリと笑うと、反対にカイは困ったように笑う。
そしてすぐに真剣な表情になる。
「さあな?」
どこか悲しげにも見えるカイ。
こうして人を傷付ける可能性があるから、この癖は止めなきゃいけなかったんだと思い出した。
「…私にとって、カイはカイだよ?」
「……あー。ちょいタンマ。」
頭を抱えたカイは私に視線を向けるが。
たぶんその瞳に今、私は映ってはいないんだと感じた。
気付いたけど、これも伝えると困らせてしまう気がしたので押し黙ることにした。
「…カイ、下降りるで。お嬢と先行くわ。」
「…任せた。」
私はおーちゃんに部屋から引っ張り出される。
おーちゃんはきっとカイのことをある程度知っている。だからカイを守った。
「お嬢、カイはそんなに気にしてへんで。」
「そうだね。」
「たぶん気にしてるのはそっちちゃうし。」
「意味深なこと言うの止めてよー。そっちってどっちか分かんない。」
勘繰りたくないのに考えちゃうじゃん。
ハルが私にこの癖を止めさせたいのは、こうなった時に私が自分を責めないように思ってのこと。
…ちゃんと分かってる。
「あ、リンおかえり。」
レンが待つ下の階に戻って来た。
私を見てはふわりと綺麗な笑顔を向ける。
「ただいまー。」
「パルテノンって初めて来たけど、賑やかそうな街だね。」
「時間あるなら少しお出掛けする?」
「うん。」
嬉しそうに笑うレン。
「…自分らほんまに別れてんの?」
「「え?」」
おーちゃんの言葉に、思わずレンと返事が被る。

