今日はパルテノンへ。
初めての二人旅。
とは言っても、私が飛んで往復することになるので移動はそんなに時間は掛からないだろう。
問題は着いてからだ。
「城内の患者だけ診てくるから、リン少し待っててね。」
「あ、うん。」
「また昨日みたいにならないとも限らないから、この部屋にいてね。」
女官の皆様に虐められないようにと。
気を遣ってくれるが、私は別に気にしていない。
「…大丈夫だよ。行ってらっしゃい。」
「行ってきます。」
ふわりと笑って、回診に出たレン。
私は出掛ける身支度を済ませ、レンが戻るまで部屋にある本を手にとって読んでみる。
どれも難しい医学に纏わる本で理解出来ている気はしないが。
「むー…。」
難しい。
そしてコーヒーほしい。
しかし部屋を出ないように言われたので、ここはレンを待つのが得策だろう。
そうして時間を潰すもレンは中々帰ってこない。
かなり放置されている私だが、ここの本達に救われて暇することもなく過ごしていた。
「レン様〜っ!」
そこへ甘い声の女官が一人現れる。
「…あ、お邪魔してます。」
「あなた…!レン様を誑かした女っ!!!」
「…レンなら患者さんのところに行きましたよ。」
すんごい嫌われてる。
不本意すぎるが丁寧に教えてあげました。
「偉そうにしないで!」
「…そう見えたならすみません。」
「レン様に近付いて良い女じゃないわ!早く出て行きなさい!」
もう同じようなことばかり言われる。
なので私は素朴な疑問を抱えた。
「どんな女性なら近付いて良いんですか?」
「それはっ…レン様に見合う知性と教養ある慎ましい女性よ!」
「…あなたがそうだと?」
「何ですって!?」
あ、言い方間違えた。
そう気付いた時には女官は動き出しており、私に向けて振り下ろされる手も見えている。
自業自得なのでそのまま平手を受け入れた。
…バシンッ。
乾いた音が鳴る。爪を掠めたのか頬からツーっと血が流れるのも分かる。
「何様なのよっ!」
「私は確かにあなたが言うレンに似合う女性ではないでしょうね。」
「当たり前でしょ!?」
あーあ。
叩かれた上に傷まで使ってしまった。
無傷で帰るって言って来たし、戦ではきちんと無傷を保てたと言うのに。
「…でも、あなた程ではありません。」
腹立ったから、せめて言いたいことは言おう。
「これ、レン一番嫌がるんじゃない?」
自分の頬を指差して言った私に、さらに目くじらを立てる女官。

