「リンがせっかく引いてくれた線、悪いけど壊すね。」
「へ…?」
その線は、出来るだけ傷付けないように。いつでも私を忘れられるように。私が足枷にならないように。
そんな想いから私が勝手に引いた線。
…壊す???
疑問符ばかりが頭に浮かぶ私の頬に、レンの手が触れる。
「っっ…!」
冷たい手。
ひやっとするその感触が今は…心地良い。
「やっぱり熱いね。」
ふわりと笑うレン。
私を捉えて離さないその紺碧の瞳は、私を絡め取り動けなくしてしまう。
まるで、鳥籠のように。
徐々にレンの顔がまた近付いてくるのは分かってる。
避けようと思えば避けれるんだと思う。だけど、私には出来ない。
だから、そっと目を閉じた。
「…リン。」
名前を呼んで、静かに唇が重なる。
「んっ…。」
キスの合間に漏れる声も、今は気にしていられない程に…もう熱い。
風邪の熱か、お酒の熱か。
はたまた私自身の熱なのか、もう分からない。
「れ…っん。」
「ん?」
レンが悪い。
悪いことにしてほしい。
私が引いた線は、もちろんレンが傷付けないための予防線だった。
それと同時に、私は私が傷付かないための防衛線だった。
「…会いたかった。」
ほんとは、もっと早く。
会いたかったの。
「れ…ンっ…。」
どんどん上がる熱に、朦朧とする。
何も考える気にもならない。
唇は塞がれたままレンの手が、私の服の中へ滑り込む。
「ふっ…んぁ…っ。」
身体が意思に反して跳ねる。
レンの手の冷たさに驚きつつも、やっぱり私にはその温度が心地良くて。
「可愛い。」
「や…あっ〜…。」
唇から離れると、そのまま首筋へキスが落とされる。

