「ここ出た後どうせ戻るし、行ってみる?」
「…行く。」
「患者さん大丈夫?」
「何とかするよ。」
何とかするってことは、ここをあまり離れるのはよろしくないんだろうな。
「じゃあ私が行きも帰りも送ってあげる。そしたら半日あれば事足りるから。」
「…アキトの言ってた意味が分かったかも。」
「へ?アキト?」
「…リンが綺麗すぎるって。」
アキトさん。
人がいないところで何を言ってるんだ。
「月の姫って言うのはアキトの妄想の中のリンなんだろうけど。」
「あーその話か。私もアキトの妄言には迷惑してる。」
「…でも分からなくはない。確かに目の前にいても、綺麗すぎて見失いそう。」
二人とも変な感覚の持ち主だこと。
「見失わないでよ。」
「…うん?」
「ここにいるし消えたりしない。だからちゃんと見てて。」
「……。」
「…これだけ待たせたから信用出来ないかもしれないけど、私レンのこと大切に思ってるよ。」
レンは大きな溜め息を一つ吐く。
そして、私をその美しい瞳で射抜くように見る。
「…そんなこと言われたら、またリンに触れたくなる。」
「それは困る。」
「やっぱりリンは一種の麻薬みたいだ。」
麻薬か。
私はどちらかと言うと、レンにその言葉をそっくりそのまま返したいと思った。
…言いませんが。
「行くなら書く物ちょーだい。」
「え?うん?」
レンから紙とペンを受け取り。
カイに宛てて、レンを連れて行く許可取りのための手紙を書く。
ついでに。
アレンデールへエゼルタ兵を送ったことも報告しておかねばと思いハル宛にも簡単に書いた。

