「やっぱいい子だー。」
「へ…っ!?」
トキが嬉しそうに笑って、私に飛びつく。
前回王宮では受け止めきれずに倒れたけども、今日はなんとか頑張って耐えました。
「…本当にアキトとリンがくっついてくれたら、俺も嬉しいなー。」
「…え?」
耳元で聞こえた、小さな小さなトキの声。
たぶん私にしか聞こえなかった声。
「…なんてね。」
「……。」
「俺の勝手な理想だから気にしないで?」
「は…はい。」
気にしないでって言うなら、初めから言わないで欲しかった!!!
なんなのその理想!!!
「あーこれも言っとかなきゃ。」
まだあるの!?
私から離れたトキは、真っ直ぐ真剣な目で私を見つめています。
「リン、まさかタダでここに住めるとは思ってないよね?」
…誰か、助けてください。
心からそう願って、私はアキトに助けてと目で訴える。
交わったはずの視線はすぐに逸らされる。
この薄情者っ!!!!!
「…えー…と。お、おいくら…?」
「可愛いリンからお金は取らないけど、代わりに明日から働いてくれる?」
それはつまり、お城のお手伝いさんをしたらいいのかな?
私、家事的なこと壊滅的に出来ないけど。逆に迷惑にならないだろうか。
と言うか私遊びに来ただけなのに…。
「軍の強化を図りたいんだ。」
「へ?」
「毎日朝だけでいいから、全員鍛え上げてくれない?」
周囲は騒めく。
でも私は悪い癖が発動し、このトキの目論見の先を無意識に読み取ってしまう。

