そんな私が戻らないカイの酒場にて。
最後の逃げた刺客を託された護衛がカイの酒場に戻り、刺客たち全員城に移送しようという話になったようで。
護衛たちが移送のためにカイの酒場を離れることになった。
「…お嬢遅いな。」
「私より先にこちらへ戻って行ったように思ったんですが。」
私の帰りが遅いとカイが心配して。
最後に私と言葉を交わした護衛がそんなカイに説明する。
「あーまた面倒事かい。」
「捜索隊出しますか?」
「…いや、あの子のことでは出来るだけ騒ぎにしたない。」
どうしようかと。
悩むカイの元に、どうやら暇を持て余した人が戻ってきた。
「カイ!?なんやこれ!?」
傷を負った刺客たちを見て声を大きくするおーちゃん。
「オウスケ、お前家帰ったんちゃうんかい。」
「…帰ったけど。何してええか分からんかったから戻ってみてん。」
「お前は働き蟻やな。」
「そんなんちゃうわ。それよりこれ…お嬢がやったん?」
撃退された刺客たちを見ておーちゃんがカイに聞く。
カイはそうだと肯定。
「けど、最後の一人追ったままお嬢が戻ってへん。」
「はあ?」
「お嬢に限って心配いらんやろうけど…って、オウスケ!」
カイが話終わる前にこの場から駆け出したおーちゃん。
誰かのピンチにすぐに駆けつけようとするその姿勢は、本当にヒーローのよう。
「俺が行こう思ったんやけどなー。」
そんなカイの言葉にぎょっと驚く護衛の人。
冗談やとカイは笑って。
「ほなお嬢のことはオウスケに任せよか。移送だけ頼むわ。」
そう言って僅かな護衛だけを残し、他の全員がこの場を離れることになった。
私を探しに走り出したおーちゃんを見て、カイはどこか嬉しそうに笑う。
「…頑張って乗り越えや、オウスケ。」

