今あの頃に戻れるなら言ってあげたい。
みんなが心配するし、大変だから早くお家に帰りなさいって。
「…これどうやったら開くの?」
「風船は開けるもんちゃうわ。割るねん。」
「割る!?」
「剣先当てれば割れるで。」
でもでも、そうなったら気体はすぐに気化するよね。五感で味わいたいのに。
「おーちゃん風船ありがと。ちょっとやり方考えるねー。」
「…最初から普通に礼言えばええねん。」
「うん、ごめんね。私が大人にならなきゃいけなかったね。」
「いっちいち腹立つ言い方する奴やな!?」
おーちゃんは年上のくせに子供だからな。
仕方ないんだ、うん。
「俺を助けようって必死やったらしいけどな?」
「なっ、私は自分のためにやっただけで…!」
「それは知らんけど俺はそう聞いたし。」
知っててくれよ!?
そんな勘違いさせたくないよ!?私本気で自分のことしか考えてなかったよ!?
「…でも皆んな流石におーちゃんに任せすぎじゃない?私が言わなきゃ誰も消火しないし?」
「平和ボケしとるだけや。それがこの国のええとこやし。」
「まあ、私は良いんだけど。おーちゃんがしんどそうだなって思うだけで。」
「……。」
あれだけ頼りにされたら、正義のヒーローにならざるを得ないよね。
例えなりたくなかったとしても。
「…っおーちゃん?」
不意に、おーちゃんが私の腕を掴んだ。
「…お前の方がしんどそうやん。」
「傷の話?」
「鬼人が倒れたあの時、しばらく戦神は戦場にずっと駆り出されとったやろ。」
「あー懐かしいね。」
ハルが不在の穴は大きすぎて。
心配性なパパだけど、私を酷使せねばならないほど確かに危うい状況だった。

