アキトはそんな私を不満そうに見てるけど。
そんな時、暗くなってしまった街にポツポツと灯りが灯り始めた。
「な…何これ?」
「この祭りは魂祭。セザールでは人の魂は海に還るって言い伝えられてるから、ああやってお供物に火を添えて海に流すんだよ。」
「えー幻想的!素敵っ!」
ポツポツだったけど数は増えていって。
真っ黒な海に綺麗な火が溢れる。
それは死者の魂を弔う、残された今を生きる人たちの祈りだったり感謝だったり願いだったり。
「…感動。」
「戦続きだったんでやっぱ今年は少ねえなあ。」
「これで少ないの!?」
「いつもはこの五倍くらいか。」
充分多いと思ったけど。
どうやら戦の影響で、減ってしまったらしい。
すると、丁度近くを通りかかった住人の声が私の耳に入った。
「どうしてこんなに少ないの?これじゃあお父さん海の中から気付いてくれないかもしれないよ!?」
「…今年は仕方ないのよ。それにお父さんは気付いてくれるわよ。」
「やだ!ちゃんと今もっと流そうよ!」
「我が儘言わないの。早く帰りましょう。」
泣きじゃくる子供と、母親。
亡くなって海に眠る魂は恐らく父親。そんな父親にきちんと祈りが届くようもっと火を灯したいと願う子供。
「…トキ?」
「うん?」
「私はまだ上手く言えないけど、少しだけなら見せてあげられるかもしれない。」
「見せるって?」
果てない果てない、私の道の一部。
街では確かに、この子と同じように浮かない顔で海を見つめる人たちで溢れていた。
涙を流して俯く人もちらほら見える。
「二人とも元気でねー。」
夜はあんまり飛びたくないけど仕方ない。
ふわりと炎を纏い上空に舞い上がった私は、既に多くの目を引いてしまっているだろうけど。
今は気にせず、この海の真上に陣取る。

