そこはちゃんと理解しておかなきゃいけない。
「百戦百勝は善の善なる者に非ず…か。」
戦わずして勝てるならそれに越したことはない。
「貴女がトキに拘る理由は知りませんけど、出来ればユイ姫とは会うべきじゃない。」
「だからシオン将軍が何とかしてあげてよ。」
「そもそも何とか出来る話ならトキがもう何とかしてる。出来ないからこうなってるんでしょ。」
「そこに活路を見出すのが兄というものです。」
ハルならそうします。
私もアルのためなら死力を尽くします。
「…それに貴女の二手目。その手を使うなら、俺はまた貴女に嫌われるんでしょうね。」
「あれ?私がどうなるか分かっちゃった?」
「元々ハルの首に狙いを付けたのは貴女を城から出すため。その城にまた戻るなら振り出しです。」
「…変な話だなー。何でシオン将軍が私を城から出してくれようとするの?」
それも昔私に会ったことと関係があるんだろうけど。私はまだ思い出せてない。
それに今までハルを狙ったことも、私を城から出すためだったのを今初めて知りましたけど。
「…ただの気まぐれ。」
「はい?」
「天候の話と同じで興味を惹かれた。貴女の意味不明な謎掛けの答えが、俺は知りたくて堪らなかった。」
「謎掛け…?」
昔の私は。
シオン将軍に一体何を言ったんだろう。
「前門の虎、後門の狼。」
「災難に続く災難を表す意…ん?あれ?」
何かその言葉に、覚えがある…かも。
「その状態から脱する方法は何か、貴女が俺に聞いたんです。」
「そうだっけ?」
「あの時はその言葉の意味も知らずに適当なこと言ってすみません。」
「んー、何か覚えがあるような?」
モヤモヤしてきた。
覚えはあるのにすっごく曖昧で、靄がかかった私の記憶。
「だけど、その意味が分かった今も俺の答えは変わらない。」
「……。」
「貴女には狼の方へ進んでほしい。」
前門の虎ではなく。
後門の狼の方へ。
その本来の意味が変わらないのならば、それはどちらも災難に違いはないはず。
「俺なら貴女を世界から守れる。」
はっきりと、真っ直ぐに。
そう言い切れるだけの力があることは、私も痛いほど知ってる。

