そしてどこかへ出発する前に。
そんな稽古風景を少しの間見学しているトキとシオン将軍。
「また無茶な稽古してるなー。」
「……。」
「シオンとリンってどっちが強いかな?」
「…彼女じゃない?」
謙遜からではなく。
火龍の力を前にすれば誰も敵わないことをその目で確認しているシオン将軍は、サラッと私が強いと言う。
「アキトとサクも格段に動けてる。リンには頭が上がらないな。」
「…軍規模拡大か。」
「うん。リンが陛下に口聞いてくれたから倍には持って行けそう。」
「面白いこと考えるもんだな。」
私とシオン将軍は、戦の展開方法こそ似ているものの。それ以外のことは相容れない。
私の目指す道は、シオン将軍には理解出来ないことだろう。
逆もまた然り。その辺りシオン将軍の考えは私にも読めない。
「まるであの双剣が彼女を守ってるみたいだな。」
「鬼人とルイに貰ったらしいよ。」
「…知ってる。あの将印にも驚いたけどあの剣も見る奴が見れば持ち主が分かる。ハルはもう病気だな。」
「俺会ったことないけど鬼人ってそんなに馬鹿な人なの?それってリンを逆に危険に晒さない?」
シオン将軍は最後に会ったハルの姿を思い出す。
「…覚悟と誇張。」
「え?」
「彼女を守り抜く覚悟と、自分の物だって誇張してるだけ。」
「アキトから鬼人の話は散々聞いてきたけど。なんかイメージと少し違う気がするなー。」
アキトの美化されたハル像。
それとシオンが話しているハルに、少し相違ある感じがしたトキは後々私に聞いてみようと考えていた。
「リンのために早く戻って来たいんだろうから、そろそろ行こうか。」
「別に彼女のためじゃない。」
「そんなこと言って。リンの寂しそうな顔に胸打たれたんでしょ。」
「…あんな顔を見たくない、俺のためだ。」
同じことじゃんと。
トキに小突かれるが、シオン将軍はそれ以外何も言わず。
兄弟は早馬で今日の予定に繰り出した。

