「アレンデールの王子だものね。結婚もそりゃするわよ!」
「あんな良い男、誰もほっとかないわよねえ。」
誰が結婚するって?
ハル???
流言なんて、尾鰭も背鰭も付く物。
ハルに限って結婚なんてあり得ないことを、私が一番良く知っている。
「お相手はどんな方かしらね。」
「それが絶世の美女らしいの!美男美女よ!」
絶世の…美女。
違う。
ハルはどんな美女より、絶対私を大事に思ってくれる。
…私が側にいなくても?
「はる…。」
完全に動けなくなった私の肩に。
ふわっとハナちゃんの羽織が返ってきた。
「…大丈夫ですか?」
「……。」
私はとりあえず羽織をぎゅっと握り。
シオン将軍から離れるため、固まった足を動かすことにした。
「……。」
「……。」
何か着いて来るんだけど。
気のせいか?
「……。」
「…私に用?」
「さっき助けてもらった礼でもと。」
「生憎私が助けたのは軍人さんの方なんで。気にしなくていいから。」
もう会わないつもりだった、この人。
嫌いな人なんてほとんどいないけど、この人のことははっきり嫌いだと言える。
…だからあまり関わりたくない。
「……。」
「…はぁ。」
街の外れまで来たけど、未だ数歩後ろにいるシオン将軍に痺れを切らしたのは私。
立ち止まってその場にあった木株に腰掛ける。

