関係ない。
私は関係ないぞ。
軍人の一人がこの店の客を観察しつつ、目的のシオン将軍を探し始める。
私はチラッともう一度シオン将軍を見る。
「っ!?」
シオン将軍は己の剣に手を掛けている。
まさかこんな人の多い場所で戦う気!?
お客さんばかりのこの場所で!?
「…最悪だ。」
小さくポツリと呟き、私はハナちゃんが用意してくれたお洋服の一部である羽織を脱ぐ。
その脱いだ羽織を手に持ったまま、素早くシオン将軍の隣へ移動。
「お兄ちゃん、大丈夫?」
「…?」
劇団女優を一度は夢見た私の、妹キャラの演技をご覧あれ。
頭の上からその羽織を被せ、軍人から隠してあげた。
私ってやっぱり聖女かもしれない。
しかし一人一人客の顔を確認している軍人さんが、私達の元へ辿り着く。
「おい。その隣の男は…」
「うわあ!すごく強そうな人ー!」
私は軍人さんの側に寄り、シオン将軍から離す。
「なっ、なんだ嬢ちゃん!?」
「軍人さんなの?」
「そうだ。今は仕事中で…」
「そっかー。じゃあ私と遊ぶのは無理だよねー。」
軍人さんの目が光るのが分かる。
「嬢ちゃん暇なのか?」
「お兄ちゃんと遊びに来たんだけど、お兄ちゃん馬車に酔っちゃったみたいで具合悪いんだってー。」
「じゃあ少しなら相手してやるぜ?」
「本当?嬉しいなー。」
そう言って軍人さんが私の腰に手を回す。
「お兄ちゃんゆっくり休んでてねー。」
私はシオン将軍をその場に置いて私は軍人さんに誘われるまま店の外へ出る。
私の行動の意図を汲み取ったからか、一言も声を発さなかったシオン将軍。
「…元々喋る方でもないか。」
「どうした嬢ちゃん?」
「なんでもない…って、うわっ!?」
私は路地裏に連れ込まれる。
そのまま壁に押し当てられ、迫り来る軍人さん。
「嬢ちゃん稀に見る良い女だな。」
「そうかなー?」
「ああ。俺が可愛がってやる…ぐはっ!!!」
せっかく路地裏に連れ込んでいただいたので。
何せ人目がないもので。
私は容赦なく、剣の柄頭を軍人さんの鳩尾に差し込む。

