(二)この世界ごと愛したい






それは、私よりるうの記憶に近いもの。


私には記憶に残っていない遥か昔の出来事。




私が産まれて、ようやく二本の足で歩き始めた頃。それをママの見守りの下、ハルとるうが側で支えてくれていた。




『リンも沢山歩けるようになったわね。』


『つぎはしゃべるか!?』


『うーん。それはまだ早いかも…。』



同じく幼いハルを宥めるママ。


ママとハルとるうが仲良く話す様子を、小さいながらにじっと見つめていた私。




『ん?』


『あら、リンはルイがお気に入りみたいね。』



私はるうに抱っこを求めて近寄る。


何も言わずに抱き上げてくれる。当たり前のように私の面倒を見てくれる。だから、いつも安心する。






『…るー。』



『『えっ!?』』



ハルは当然。ママさえも驚いた。


まだ歩き始めたばかり。言葉を話すのはまだまだ先だと思われていた私が発した喃語。





『…るーって、おれ?』



『るーっ!』




パパやママと発するよりも先に、私が産まれて一番に覚えた言葉。



それが“るう”だった。


気付けばそう呼んでいて、ちゃんと“ルイ”と呼び直そうと思ったこともあった。



だけどそれは嫌だとるうが言った。






『お前に今更名前呼ばれたら違和感ある。戦場とかでも便利だぞ。他と違うからすぐ反応出来る。たぶん。』



『えーそうなの?』



『それにお前がそう呼ぶの、俺は死ぬほど嬉しい。』



『呼び方だけなのにー。るう変なのー。』




だけど、そんなに喜ぶことならば変えなくてもいいかと思い結局未だに“るう”。



幼いながらに、本能レベルで私は分かっていたのかもしれない。


この人は、どこまでも私に親愛の情を注いでくれる人だと。守り合い支え合える、かけがえのない存在になるということを。





大切で大好きな相棒さん。


一緒に戦いに挑むのはお久しぶりですが、ここも華麗に勝って次へ進みたいと思っています。



今回も私が整えたとっておきの苛烈な戦場へ。




今日も共に行こう。






【fin.】