横になって目を瞑っているだけの私の横で、アキトが動いたのが分かる。
警戒の念が働く私は無意識に身体が強張る。
「…何もしねえよ。」
アキトはそう言って、私の頭をその腕に乗せるだけ。
「…腕枕好きなの?」
「はあ?」
「だって毎回してる気がするけど。」
ハルもそうなんだけど。
ハルに聞いたことなかったから、アキトに聞いてみた。どうせこんな二人だから理由も同じだろう。
「言われてみれば、お前以外にやったことねえなあ。」
「え…。」
「視察の時は野宿させられて寒かったからって記憶はある。」
「じゃあ今は?」
瞑っていた目を、私は再度開く。
「っ!」
「お前を一番近くで見たいだけ。」
その言葉の通り。
開いた目の前にアキトの顔があって。
驚いて後退りしようとした私を、そのまま抱き締めるので動くことは許してもらえず。
「ち、近い!!!」
「あ?今更かあ?」
ほんのり私への気持ちを疑っているので。
距離感を一歩でも間違えると、大惨事になることを危惧している私。
「何もしねえって言っただろ。」
「…言ってた、けど。」
前にもそんなことを言った人に、噛み付かれた経験もあるもので。
全幅の信頼は置けない。
「俺は寝る。傷も痛えし。」
「…はい。」
「おやすみ、リン。」
「おやすみ。二回目だけどね。」
アキトは本当にそのまま動くことはなく。
ただ私を抱えて眠るだけ。
腕枕の理由は、確かにハルに聞いたとしても同じようなことを言いそうだなと思えた。
思えたから。
アキトはハルと同じで。
言いたい言葉を飲み込んだんじゃないかと、そんなことを考えてしまった。

