そんなことは知らず。
私はエゼルタ出発前に、再度訪れたい場所があり。
今日はパルテノン王都を一人離れて、ふらりと一つの目的地に降り立った。
『…巫女の子よ。』
カイにいつか連れられた、神殿。
別に祈りに来たわけではなく。これからの戦いの必勝祈願をするわけでもない。
「ご無沙汰ですー。」
『祈りを捧げよ。』
「捧げないけど、教えて欲しいことがあって来たの。」
『……。』
祈らないと分かれば無視ですか。
神とは心の狭いものですね。
「私に勝手に力を付与したでしょ。」
『更なる力を望むか。』
「そうじゃなくて。これって私が持ってた力を単に増強したって認識で合ってる?」
『…左様。』
それを、確かめに来た。
ムカつくし。納得いかないし。やっぱり神様なんて好きになれない。
「…やっぱり、あれは私の力じゃなかったんだね。」
その答えを知るのが、ずっと嫌だった。
戦で負けないこと。戦いで人より少し優位に立てること。全部全部、私の力じゃなかった。
…それを、認めたくなかった。
でも、はっきりと神様本人に認められてしまった。それは神の力の賜物だと。
『祈りとは、夢だ。』
「……。」
『望むなら永遠に、覚めない夢を与えよう。』
「…馬鹿にしないで。」
今はまだ、夢で終わらせるつもりなんてない。
神の力も、火龍の力も、こうなってしまえば全て私の力だ。
『力を与えて泣かれるのは初めてだ。』
「っ…。」

