困った狼さんだ。
自分だって、今そこそこの非礼を働いたと言うのに。他人の行いは嫌だと言う。
「結局、私はシオンのお姫様なんだね。」
「…別に。」
「尊厳を守るってそう言うことじゃん。そこは気にしないでって言っても難しそうだね。」
今は姫としてここにいるわけじゃないと、そう割り切ってくれればいいのに。
私は割り切ってる。
「もうすぐ嫌ってほど見られるよー。私の姫姿。」
「見なくていい。」
「えー。可愛い服用意して貰おうと思ってるのに。シオン何色が好き?」
「……。」
せめて服の色の話でもして気を紛らわせてあげようと思ったんだけど、不発。
「当日はシオンの好きな色のドレスで行くよ?」
「……白。」
「花嫁さんみたいにならないかな。あ、でも白なら一着持ってる。アレンデールから取り寄せよう。」
「……。」
「楽しみにしててねー。たぶん性格も相まって全然可愛くないけど。」
かなりの確率で、エゼルタ城の皆さんを敵に回してしまうほどの暴君になりますので。
服くらい可愛くして行こう。
「シオンのお姫様は世界一らしいからね。ハルのお墨付きだよー。」
「…くだらない。」
「キスは出来ないけど、今日頑張って我慢してくれたご褒美はあげるー。」
私はシオンをぎゅっと抱きしめる。
こんな手段でも取らないと、この狼は本日永遠に機嫌が悪いんだ。
「…シオン、ありがとう。」
「…キスがいい。」
「やっぱ可愛くない。」
「何で出来ないんですか。」
不満を言いながらも、しっかり抱き締め返してくるくせに。
「…さっきカイに確認した。シオンに…するのは、私の…キャパが足りない、です。」
「じゃあ早く容量上げてください。」
「それが出来ないから…困ってるのに。」
「いつまでも大人しく待てない。」
「だからどこが大人しいの!?」
「もう、欲しくて堪らない。」
好きだとは言わないのに、欲しいとは言う。
別に公言なんてしてもらわなくて全然良いんだけど、ここまで来ると少しこっちにも意地を張りたくなる。

