「あやめさん?社長と何のお話を?」
私がオフィスで父に電話をかけたのが珍しかったのだろう。
久瀬くんが心配そうに尋ねてきた。
「えっと、来週のパーティーのお話です。外資系も含めて製薬会社が集まるパーティーなのですけど、久瀬くんも一緒に行ってもらえますか?挨拶回りをしておきたくて」
「パーティー、ですか?そんなところに俺が行っても大丈夫でしょうか」
「あっ、無理にとは言いません。乗り気でないならどうぞご無理なさらず。私一人で行きますので」
早口でまくし立てると、久瀬くんは少し不思議そうにしてから口を開く。
「いえ、ご一緒させてください」
「えっ、いいの?懇親会なので、挨拶してばかりで楽しくないですよ?」
「仕事ですから。それともあやめさんは、俺が行くと邪魔ですか?」
「そっ、そんなことは、ないですけれども……」
「ではご一緒します」
きっぱりと言い切られて、私は仕方なく口をつぐむ。
(でも諦めないわ。クリオ製薬の御曹司と名刺交換をして、あとで個人的に連絡を入れよう)
久瀬くんに恋する前にお見合いを!と、私は己のスローガンを心に掲げた。
私がオフィスで父に電話をかけたのが珍しかったのだろう。
久瀬くんが心配そうに尋ねてきた。
「えっと、来週のパーティーのお話です。外資系も含めて製薬会社が集まるパーティーなのですけど、久瀬くんも一緒に行ってもらえますか?挨拶回りをしておきたくて」
「パーティー、ですか?そんなところに俺が行っても大丈夫でしょうか」
「あっ、無理にとは言いません。乗り気でないならどうぞご無理なさらず。私一人で行きますので」
早口でまくし立てると、久瀬くんは少し不思議そうにしてから口を開く。
「いえ、ご一緒させてください」
「えっ、いいの?懇親会なので、挨拶してばかりで楽しくないですよ?」
「仕事ですから。それともあやめさんは、俺が行くと邪魔ですか?」
「そっ、そんなことは、ないですけれども……」
「ではご一緒します」
きっぱりと言い切られて、私は仕方なく口をつぐむ。
(でも諦めないわ。クリオ製薬の御曹司と名刺交換をして、あとで個人的に連絡を入れよう)
久瀬くんに恋する前にお見合いを!と、私は己のスローガンを心に掲げた。



