朝になり、私はシャワーを浴びて着替えてから一階のダイニングルームに顔を出した。
どうやら夕べは酔ったらしく、スーツを着替えもせずに眠ってしまったらしい。
それでもちゃんと帰って来たなんて、我ながらえらいと感心した。
「おはようございます、あやめお嬢様」
「おはよう、さちさ……、わーーー!!」
私はダイニングテーブルに久瀬くんの姿を見つけて飛びすさる。
「く、久瀬くん!?どうしたの?」
「おはようございます、あやめさん。お邪魔しています」
「え、朝ご飯食べに来たの?」
「いえ、夕べ社長に泊まらせていただきました」
は!?と私は目が点になる。
「父があなたをここに泊めたの?」
「はい。遅くなったから泊まっていきなさいと言ってくださって」
「ますます分からないんだけど。久瀬くん、どこで父と会ったの?」
「ここです」
ぽかーんとする私にクスッと笑って、久瀬くんがようやく事情を話してくれた。
「あやめさん、昨日夕食の席で寝てしまったんです。だから俺がタクシーでここまで送り届けました」
「そうだったのね。ごめんなさい、ご迷惑をおかけして」
一人でちゃんと帰って来たと思い込み、自分を褒めたのが恥ずかしい。
「あやめお嬢様、久瀬様がいてくださって良かったです。でなければどうなっていたかと、さちは肝を冷やしましたよ」
「ごめんなさい。久瀬くん、ありがとうございました」
さちさんに言われて、私は反省した。
こんな調子では、ますます両親はひとり暮らしに戻してはくれないだろう。
実家を出ても大丈夫だと安心させられるように振る舞わなければ。
「そう言えば、お父様は?」
「先に出発されましたよ。今日は出張の日ですから。お嬢様は久瀬様と一緒にハイヤーでお送りいたします。さあ、お食事をどうぞ」
「ありがとう」
久瀬くんの向かい側に腰を下ろすと、久瀬くんが心配そうに声をかけてきた。
「あやめさん、二日酔いは大丈夫ですか?」
「あ、ええ、大丈夫です。ごめんなさい、そんなに酔ったなんて」
「いえ、恐らく疲れが溜まっていたからだと思いますよ。最近ずっと忙しかったですから」
「でも久瀬くんだって同じように忙しかったのに。ご迷惑をおかけしてすみませんでした。あの、父と話したの?大丈夫だった?」
すると久瀬くんは、何かを思い出したように笑みを浮かべる。
「はい、社長と色々お話し出来てとても楽しかったです」
「ええ?父と話して何が楽しいの?」
「ずっと気がかりだったこともお返事をいただいて安心しましたし、あやめさんの小さい頃のかわいらしいエピソードとか」
そう言って本当に嬉しそうに笑う。
ますます訳が分からないが、久瀬くんの笑顔に見とれて、まあいいかと流してしまった。
どうやら夕べは酔ったらしく、スーツを着替えもせずに眠ってしまったらしい。
それでもちゃんと帰って来たなんて、我ながらえらいと感心した。
「おはようございます、あやめお嬢様」
「おはよう、さちさ……、わーーー!!」
私はダイニングテーブルに久瀬くんの姿を見つけて飛びすさる。
「く、久瀬くん!?どうしたの?」
「おはようございます、あやめさん。お邪魔しています」
「え、朝ご飯食べに来たの?」
「いえ、夕べ社長に泊まらせていただきました」
は!?と私は目が点になる。
「父があなたをここに泊めたの?」
「はい。遅くなったから泊まっていきなさいと言ってくださって」
「ますます分からないんだけど。久瀬くん、どこで父と会ったの?」
「ここです」
ぽかーんとする私にクスッと笑って、久瀬くんがようやく事情を話してくれた。
「あやめさん、昨日夕食の席で寝てしまったんです。だから俺がタクシーでここまで送り届けました」
「そうだったのね。ごめんなさい、ご迷惑をおかけして」
一人でちゃんと帰って来たと思い込み、自分を褒めたのが恥ずかしい。
「あやめお嬢様、久瀬様がいてくださって良かったです。でなければどうなっていたかと、さちは肝を冷やしましたよ」
「ごめんなさい。久瀬くん、ありがとうございました」
さちさんに言われて、私は反省した。
こんな調子では、ますます両親はひとり暮らしに戻してはくれないだろう。
実家を出ても大丈夫だと安心させられるように振る舞わなければ。
「そう言えば、お父様は?」
「先に出発されましたよ。今日は出張の日ですから。お嬢様は久瀬様と一緒にハイヤーでお送りいたします。さあ、お食事をどうぞ」
「ありがとう」
久瀬くんの向かい側に腰を下ろすと、久瀬くんが心配そうに声をかけてきた。
「あやめさん、二日酔いは大丈夫ですか?」
「あ、ええ、大丈夫です。ごめんなさい、そんなに酔ったなんて」
「いえ、恐らく疲れが溜まっていたからだと思いますよ。最近ずっと忙しかったですから」
「でも久瀬くんだって同じように忙しかったのに。ご迷惑をおかけしてすみませんでした。あの、父と話したの?大丈夫だった?」
すると久瀬くんは、何かを思い出したように笑みを浮かべる。
「はい、社長と色々お話し出来てとても楽しかったです」
「ええ?父と話して何が楽しいの?」
「ずっと気がかりだったこともお返事をいただいて安心しましたし、あやめさんの小さい頃のかわいらしいエピソードとか」
そう言って本当に嬉しそうに笑う。
ますます訳が分からないが、久瀬くんの笑顔に見とれて、まあいいかと流してしまった。