キミのために一生分の恋を歌う② -last stage-

3曲目が終わり、4曲目が始まる間には意図的に休憩を入れてもらった。
次が最後の曲だというのもあったし、過去のように最後まで力を出しきれないことがないようにと、晴たちが考えてくれた。

休憩の間には四季から他の曲を選び、プロモーションビデオと一緒に流していた。
フラフラとしてほぼ倒れ込むように私は戻って来た。

「ハァハァ……」
「頭を上げて寝かせて、すぐに酸素だけ吸わせてあげて」
「小夏ちゃん、頑張ってるね。ほんとによく頑張ってる」

東条先生とゆかさんがそばに来て、心配そうに診察を始める。

「まだ……あと一曲、出来たら二曲……歌わせて……下さい」
「お姉ちゃん無理だよ。最後だからって頑張りすぎだよ!!」

私は冷や汗をかき、身体中が震えながらも目いっぱい小春のことを睨み返した。
小春は明らかに違う私の態度に怯えているのが分かった。
それでも、ちゃんと伝えなきゃ。

「最後だから……ゴホッゴホッ……とかじゃないよ……!! 私たちがbihukaなんだって……届け、な、きゃ……」
「お姉ちゃん!!」
「意識が混濁してきてるな。ゆかさん、ボスミン用意して」
「はい!」
「小春さん。今だから知っていて欲しい。やれる治療はもうとっくに全部やってる。医療は、万能じゃないんだよ。それでもお姉さんはこの道を選んだんだ。それだけは覚えていて」
「分かってます。自分で選んだって。でも、もうこれ以上、苦しませたくないよ……ッ!! 私が歌うから、私が何でもやるから、お姉ちゃん帰ってきてよぉ!!」

小春は既に力の抜けた私の手を握りしめながら、何度もお姉ちゃんと叫んだ。

「大丈夫だよ、小春さん」

その時、晴がきた。
晴はもうそんな私を見ても驚かない。
全く揺らぎさえしない。
ただ横たわる私の前に膝まづき、笑って、言った。

「小夏、僕と約束したよな? 最後まで生きて、歌うって」