キミのために一生分の恋を歌う② -last stage-

本当はいつだって消えてしまいたかった。
お父さんが亡くなった日も、冬夜が居なくなった日も、喘息が酷くなった時も、全部私に課せられた罰みたいだと思っていた。

「ぱーぱ!」
「あぁ小夏、上手に言えるようになったねぇ」
「貴方、気をつけて」
「父さん、行ってらっしゃい」
「うん。茜と冬夜もね。これから雪も降るみたいだから。小夏とお腹の小春をしっかり守ってあげてね」

雪の積もる中、鳴り響くブレーキの音。
広がっていく血。
お父さんがどんどん遠くなる。
葬儀で親戚たちが噂する声。

「最期まで家族の名前を呼んでたって」
「お守りみたいに家族の写真を手に握ってねぇ……それも血でぐちゃぐちゃになっちゃったみたいで」
「Spicaはどうするつもりなのかしら」

またある時、冬夜が居なくなってお母さんの心が少しずつ蝕まれていった時のこと。
うわ言のように呟いた。

「小夏、貴方はあの人にいちばんよく似てるから。見ているのが辛いのーー」

冬夜と違って。
私は血が繋がってるから。
嫌でも思い出すって。

「私なんて、最初から居なければよかったのかなぁ」

いつだって涙が溢れ出すと、止まらなかった。