誰か一人くらい気付いたと思うけど、敢えて二人の時間を作ってくれたんだと思った。
会場を出ると、晴は自転車に乗った。
いつからそこに置いてあるかわかんないくらい、ギシギシいってる古い自転車。
「いつもの車はないけど、これならいいだろ?」
「いいの?」
「ちょっとだけ借りるだけだ。ほれ、後ろに乗って」
「うんっ!」
「行くぞっ」
「わー! なんか怖い!!」
私は晴のお腹に手を回して、ギュッと背中に顔を埋めた。
自転車はギシギシ言いながらも意外とすんなり走り出す。
風が気持ちいい。
「ははっ、これ全然空気入ってないな!」
「変なの!」
「かっこ悪いけど、デートっぽいだろ?」
「ぽいぽい!」
「彼氏っぽい?」
「うん、私の彼氏サイコー!」
晴が坂だ〜と言って、面白いくらいにどんどん下っていく。
私は風を感じようと後ろで立つと、晴がこら危ないと言う。
大丈夫だよ、晴だもん。
何があっても私を守ってくれるもん。
「見て、空、星がいっぱい」
「すごいな〜! さすが北海道」
「ねぇ、このままどこ行く?」
「小夏の好きなところ」
「じゃあ坂を下ったら、すぐ右行って。10分くらいまっすぐ」
「ん?」
「私たち家族が昔いた、別荘」
解ったよとだけ応えて、右に曲がる晴。
あとはずっと2人黙ってた。
「いつも、だいたい冬はここで過ごしたの。変わってるよね。わざわざ冬に行くなんてさ」
「冬だから、寒いから、みんなでいたかったんじゃないか?」
「そうかも。雪まみれだったけど、みんなといたら寂しくなかった」
「家族ってそんなもんだよ。ちょっと面倒で、大変で、でもみんなでいると落ち着くもんだ」
そうだね、と私は星空を見て、そっと一筋の涙を流した。
もうどこにも無い。家族。けれど無くなってしまっても、まだ心の中にあるから。
ねぇ、星はこんなにも輝いていたかな。
君と見ているからかな?
いつかは、こんな痛みも全部笑って愛せるようになるのかな?
「小夏、着いたよ」
「懐かしいな……」
私は自転車から降りて、ゆっくりと家へと向かう。
ドアノブをガチャガチャしてみるけど、鍵がないからもちろんあかない。
「晴こっち、裏庭の方。少し歩くけど」
「どうせデッキから屋根に登れるようになってて、上がると景色がキレイなんだろうな」
「さすがだね! お父さんが作ってくれたんだ。もう晴は私のことなんでも分かっちゃうね」
「ほらほら、そこ暗いから気をつけて」
夏の虫が寂しげに鳴いてる。
草を避けながら、私たちは裏庭へ回った。
会場を出ると、晴は自転車に乗った。
いつからそこに置いてあるかわかんないくらい、ギシギシいってる古い自転車。
「いつもの車はないけど、これならいいだろ?」
「いいの?」
「ちょっとだけ借りるだけだ。ほれ、後ろに乗って」
「うんっ!」
「行くぞっ」
「わー! なんか怖い!!」
私は晴のお腹に手を回して、ギュッと背中に顔を埋めた。
自転車はギシギシ言いながらも意外とすんなり走り出す。
風が気持ちいい。
「ははっ、これ全然空気入ってないな!」
「変なの!」
「かっこ悪いけど、デートっぽいだろ?」
「ぽいぽい!」
「彼氏っぽい?」
「うん、私の彼氏サイコー!」
晴が坂だ〜と言って、面白いくらいにどんどん下っていく。
私は風を感じようと後ろで立つと、晴がこら危ないと言う。
大丈夫だよ、晴だもん。
何があっても私を守ってくれるもん。
「見て、空、星がいっぱい」
「すごいな〜! さすが北海道」
「ねぇ、このままどこ行く?」
「小夏の好きなところ」
「じゃあ坂を下ったら、すぐ右行って。10分くらいまっすぐ」
「ん?」
「私たち家族が昔いた、別荘」
解ったよとだけ応えて、右に曲がる晴。
あとはずっと2人黙ってた。
「いつも、だいたい冬はここで過ごしたの。変わってるよね。わざわざ冬に行くなんてさ」
「冬だから、寒いから、みんなでいたかったんじゃないか?」
「そうかも。雪まみれだったけど、みんなといたら寂しくなかった」
「家族ってそんなもんだよ。ちょっと面倒で、大変で、でもみんなでいると落ち着くもんだ」
そうだね、と私は星空を見て、そっと一筋の涙を流した。
もうどこにも無い。家族。けれど無くなってしまっても、まだ心の中にあるから。
ねぇ、星はこんなにも輝いていたかな。
君と見ているからかな?
いつかは、こんな痛みも全部笑って愛せるようになるのかな?
「小夏、着いたよ」
「懐かしいな……」
私は自転車から降りて、ゆっくりと家へと向かう。
ドアノブをガチャガチャしてみるけど、鍵がないからもちろんあかない。
「晴こっち、裏庭の方。少し歩くけど」
「どうせデッキから屋根に登れるようになってて、上がると景色がキレイなんだろうな」
「さすがだね! お父さんが作ってくれたんだ。もう晴は私のことなんでも分かっちゃうね」
「ほらほら、そこ暗いから気をつけて」
夏の虫が寂しげに鳴いてる。
草を避けながら、私たちは裏庭へ回った。


