キミのために一生分の恋を歌う② -last stage-

【ではリハーサル始めまーす】

スタッフの合図ともに、今度は雪ではなく、桜の花びらが舞った。
今回のラストライブのテーマは四季。
春夏秋冬の4曲を披露することになっていた。

それは私の命が尽きた時にリリースする予定だった曲たちで。
いま、生きているからこそ、歌える歌だった。

降ってくる桜の花を眺めながら舞台上にいる、晴と小春を。
そして見守ってくれるみんなのことを一人一人見つめていった。

「こんにちは!! bihukaです!! 今日は私達のラストライブへようこそ。そしてエソランドームオープンおめでとうございます。終わりと始まりの日が重なるなんて、なんだか不思議です。それでも生きることは終わることと始まることの繰り返しだと思うから。みなさんの心に残る歌を精一杯届けます。どうか今日はめいっぱい楽しんでいってください」

会場のライトがいっせいに真っ暗になったあと、淡くピンクに光る。何かと思い見てみると、ペンライトだった。無料でみんなに配られる予定のたくさんのペンライトが、春の陽だまりみたいに光っていた。

私は、こんな素敵な演出があることを知らなくて。
サプライズのプレゼント、だよね。
伝えたいこと、たくさんあるのに言葉が出てこないほど感動した。
こんなに素敵なプレゼントをありがとう。
うれしくて、きっと私に出来ることは歌を歌うことだけ。
全力で歌うから。思いを届けて。