キミのために一生分の恋を歌う② -last stage-

新千歳空港に到着して10分くらいした頃だろうか、私は晴に声をかけられて目が覚めた。さっきまで感じていた胸の痛みも多少マシになっていた。晴は心配そうにずっと手を繋いでくれていた。

「先生たち、ありがとうございます」
「無理して動くな小夏。もう少し休んでからいこう」
「ううん、大丈夫だよ」
「小夏ちゃん、車椅子移動にしようか」
「ほんとに大丈夫です。歩いていけます。先生たち、私こんなだけど、ずっとずっと我慢してたからいま歌いたくて歌いたくて仕方ないんだよ。だから、元気!」

私は力こぶを作って見せる。
すると小春が吹き出す。

「ぷっお姉ちゃんすっごく弱そうだね」
「なんだよ〜小春のバカ! 私より身長低いくせに!」
「あ、言ったなぁ」
「姉妹喧嘩はやめてくださーい」

すみちゃんが制してくれる。

「だって小春が」
「お姉ちゃんが!」
「あんたたち元気過ぎ」

ついにすみちゃんも笑い出す。

「その調子なら大丈夫そうだね」
「そうだよ、晴。私もう奇跡の復活遂げちゃうんだから」
「はいはい。じゃあ、奇跡の小夏さんも小春さんも用意していきますよ」
「馬鹿にしないでー!」

時間に遅れたら大変だから渋々歩き出す。
でも、久しぶりの北海道は空が青々としてて、空気が澄んでいた。

「帰って来たぞ〜〜北海道」
「おぉ!」

すみちゃんと小春とわいわいやっていると、先生たちが苦笑いするくらいに私たちは元気だった。