次の日、点滴も外れ晴れて自由の身となった私はちょっとした決意を胸に病室を出た。
ちなみにまだ晴からはトイレやお風呂以外、一人で病室の外に出るのを禁止されていた。
とは言え、常に私のことを監視してる訳でもないし!
ちょっとくらい大丈夫だよね。
「体、おも⋯⋯」
1週間くらい横になってただけで、こんなに体力が落ちるなんて。
あと少しでライブもあるのにこんな調子ではさすがに焦る。
気合を入れなおし、手すりを持ちながらゆっくりと進んだ。
ゆっくり進んでいるはずなのに中々前に進まない。
そのうちに少しずつ息が上がり、クラクラして目の前が霞んできた。
手すりを持ちながらその場にしゃがみこんでしまう。
「あっコラ小夏!!」
「小夏ちゃん!」
そこは運悪くスタッフステーションの前で、かつエレベーターの前でもあったので、すぐに晴とゆかさんに見つかり2人が私の元へやってくる。
あと少しでエレベーターに乗れさえすれば先にいけたのに。
「大丈夫だから⋯⋯ちょっとだけ散歩」
「なんで言ったそばから無理するかなぁ。高瀬さん、すぐに車椅子持ってきて」
「はいっ」
晴は少し呆れた様子で、聴診し脈をとっている。
このままでは病室に連れ戻される。
「大丈夫だって⋯⋯言ってるの」
「小夏の体は疲れたと言ってる。今日はもう充分頑張ったよ。体力戻したいならまた明日から僕が付き添うから」
「違うの⋯⋯今日、一人で行きたいの! うわぁあああ」
悔しくて、嗚咽のような声と涙があふれた。
理性で抑えようと思っても、もう我慢できなかった。
こんなんじゃ全然ダメだ。全然、足りない。
私もっと頑張りたいのに。
身体が言うことを聞いてくれない。
「小夏、大丈夫だ。僕がいる、僕がいるから」
「ダメなの! ゼェゼェ⋯⋯私、こんなんじゃ⋯⋯全然」
晴が背中をさすってくれながら、優しい言葉をかけてくれるのに。
どうしてだろう、悲しくて涙が止まらない。
「小夏ちゃん。考えても仕方ない時は何も考えないのが一番なのよ」
ゆかさんが車椅子を持ってきて、私を座らせてくれる。そして私の前に座って、涙が止まらない私の目をみながらやさしく諭す。
「でも、私がこんなんじゃ⋯⋯」
「でももだっても今はなし!! 今は私や諏訪野先生のことを信じて休むの。代わりに私たちが小夏ちゃんのことたっくさん考えるからね」
「ごめんなさい」
素直でよろしい、じゃあ戻ろうねとゆかさんが言い、晴も一緒に病室まで来てくれた。
ベッドに戻ると、晴は念の為にと酸素マスクをつけた。
「ったく心配かけて。昨日約束したばかりだろ。また後で様子を見にくるから」
晴は怒ってるのと悲しいのが半分ずつの声で、そう言って病室を出ていった。
私はまたこっそり少しだけ泣いたけど、ゆかさんを信じて今は何も考えないようにゆっくり目を閉じた。
ちなみにまだ晴からはトイレやお風呂以外、一人で病室の外に出るのを禁止されていた。
とは言え、常に私のことを監視してる訳でもないし!
ちょっとくらい大丈夫だよね。
「体、おも⋯⋯」
1週間くらい横になってただけで、こんなに体力が落ちるなんて。
あと少しでライブもあるのにこんな調子ではさすがに焦る。
気合を入れなおし、手すりを持ちながらゆっくりと進んだ。
ゆっくり進んでいるはずなのに中々前に進まない。
そのうちに少しずつ息が上がり、クラクラして目の前が霞んできた。
手すりを持ちながらその場にしゃがみこんでしまう。
「あっコラ小夏!!」
「小夏ちゃん!」
そこは運悪くスタッフステーションの前で、かつエレベーターの前でもあったので、すぐに晴とゆかさんに見つかり2人が私の元へやってくる。
あと少しでエレベーターに乗れさえすれば先にいけたのに。
「大丈夫だから⋯⋯ちょっとだけ散歩」
「なんで言ったそばから無理するかなぁ。高瀬さん、すぐに車椅子持ってきて」
「はいっ」
晴は少し呆れた様子で、聴診し脈をとっている。
このままでは病室に連れ戻される。
「大丈夫だって⋯⋯言ってるの」
「小夏の体は疲れたと言ってる。今日はもう充分頑張ったよ。体力戻したいならまた明日から僕が付き添うから」
「違うの⋯⋯今日、一人で行きたいの! うわぁあああ」
悔しくて、嗚咽のような声と涙があふれた。
理性で抑えようと思っても、もう我慢できなかった。
こんなんじゃ全然ダメだ。全然、足りない。
私もっと頑張りたいのに。
身体が言うことを聞いてくれない。
「小夏、大丈夫だ。僕がいる、僕がいるから」
「ダメなの! ゼェゼェ⋯⋯私、こんなんじゃ⋯⋯全然」
晴が背中をさすってくれながら、優しい言葉をかけてくれるのに。
どうしてだろう、悲しくて涙が止まらない。
「小夏ちゃん。考えても仕方ない時は何も考えないのが一番なのよ」
ゆかさんが車椅子を持ってきて、私を座らせてくれる。そして私の前に座って、涙が止まらない私の目をみながらやさしく諭す。
「でも、私がこんなんじゃ⋯⋯」
「でももだっても今はなし!! 今は私や諏訪野先生のことを信じて休むの。代わりに私たちが小夏ちゃんのことたっくさん考えるからね」
「ごめんなさい」
素直でよろしい、じゃあ戻ろうねとゆかさんが言い、晴も一緒に病室まで来てくれた。
ベッドに戻ると、晴は念の為にと酸素マスクをつけた。
「ったく心配かけて。昨日約束したばかりだろ。また後で様子を見にくるから」
晴は怒ってるのと悲しいのが半分ずつの声で、そう言って病室を出ていった。
私はまたこっそり少しだけ泣いたけど、ゆかさんを信じて今は何も考えないようにゆっくり目を閉じた。


