キミのために一生分の恋を歌う② -last stage-

先生の車に移る時、お姫様抱っこみたいにして移してもらう。
なんだか気恥ずかしくなって。

「ごめんなさい重いですよね……」と言うと
「軽すぎるの間違いだろ」と返される。

そのまま車に乗せられると、先生に息苦しくないか体調の確認されて、大丈夫と応えると車は出発した。
時刻は夜の7時を過ぎていた。
だんだんと夜の匂いが濃くなっていく。

「先生……あの、私はきっととても大事なことを忘れてしまったんですよね? それでみんなを困らせて悲しませてる。だから先生がこうして連れ出してくれたんですよね」
「違うよ。僕が小夏と出かけたい。ただそれだけだ」
「そんなのまるで……」
「恋人みたい?」
「はい……」

先生は笑った。
とても懐かしくそうに、何かを思い出しているかのように。

「ねぇ、小夏の好きな人は、どんな人」
「私の……? 優しくて大人で、包み込んでくれるような人ですかね」
「まるで冬夜さんそのものだな」
「冬夜は……家族だから。それに、さっき触れられた時に分かったんです。あぁ、もう違うんだなって。きっと冬夜にも私が忘れた4年の中で色んなことが起きて、変わっていったんだって」
「そうだね。でも小夏も変わったよ」
「そうだといいな。私は頑張れてたならいいな」

先生はまっすぐ前を向いたまま言った。

「小夏は頑張ってた。すごくすごく頑張ったよ」

なんで、こんなに優しくしてくれるんだろう。

私はなぜか、その言葉のそばにいつも先生の姿があったように思えて、涙が出そうになった。

「ありがとう……ございます」
「泣かないで。君には笑っていて欲しい」

どうしてこんなに懐かしいの。
隠せなくて、涙が溢れた。
夜の闇の中に、思いを隠せたら良かったのに。