キミのために一生分の恋を歌う② -last stage-

次の日も朝一番で家族がお見舞いに来てくれた。

「お姉ちゃん、おはよう。ICUから個室に移れてよかったね」
「おはよ。うん! いつも入院してるのに今回は感じ違うって言うか。何があったのかな? 髪色もおかしくない?」
「お姉ちゃん⋯⋯!!」

冬夜が、静かに小春を制する。
お母さんが私をゆっくりと見つめていう。

「小夏、自分が今何歳か解る?」
「え、んーと⋯⋯13とか?」
「落ち着いて聞いて欲しい。今はそれから、4年経っているわ」
「え? だって昨日も冬夜と小春と遊んだよ?」
「お姉ちゃん、違うんだよ⋯⋯忘れちゃったんだよ」
「僕が君の前から消えたちょうど4年前のあの日で止まってるんだね」
「どういうこと? それに冬夜、杖はどうしたの」
「僕はね、病気だったんだ。もう治らないと思ったから、4年前のクリスマスに君の前から居なくなった。父さんの墓があるフランスに帰ったんだ。最期だけは僕を見つけてくれたあの人と一緒にいたくて。そして気が付いたら、僕は病院のベッドの上にいて、横では母さんが泣いてた」
「冬夜が病気だってこと、私、知ってたよ。治ってよかった⋯⋯」
「うん。あの頃のようにもう楽器は弾けないけれど」
「いいんだよ。生きてくれて嬉しいよ」

冬夜は優しく私を抱きしめてくれた。
だけど、どうして。
いつもならすごく嬉しいはずなのに、胸がちくんと痛むの。

「冬夜⋯⋯離れて⋯⋯。わかんないの。でも、ここがすごく苦しいの」
「小夏、その気持ちはきっとすごく大事なものよ」
「うん。お母さんのことも、冬夜も、小春も、大好き。大切な家族で。冬夜は⋯⋯私のすごくすごく⋯⋯一生特別な⋯⋯人、病気も治ったなら嬉しい。これからもただずっと一緒に居たいって、なのにどうして? ずっと、伝えたかった言葉なのに。嬉しい、のに⋯⋯ッ」

色んな感情がぐちゃぐちゃになって、涙が止められない。

「小夏。僕が、君の一生特別な人になれたなら嬉しいよ。でも、君はその思い出せない4年の間にたくさんのことをやり遂げて、成長したんだよ。僕のいないところで。僕はそれがとても誇らしくて嬉しいんだ。小春や沢山の人が君のそばに居て、ずっと支えてくれていたんだよ」
「私が⋯⋯成長した? それが嬉しい?」

また何か、苦しくなる。

「お姉ちゃん⋯⋯全部思い出してなんて言わないから。きっと本当に一番大切な人のこと、思い出せるといいね」

お母さんが気持ちを整理したいだろうから、少しそっとしておきましょうと、そう言ってみんなは部屋を出ていった。