その夜に私は思い出した。
冬夜が居なくなったあの日のこと。
それはやっぱり雪の降った日で。
ホワイトクリスマスの夜だった。
お父さんが亡くなって迎えた何度目かのクリスマスで。
イルミネーションで輝いて見える街の明るさも、お父さんを思い出すから嫌いになっていた。
「小夏、今年のクリスマスプレゼントは何をお願いしたの?」
「毎年同じだよ。お父さんが帰ってきますようにって。代わりに私が居なくなってもいいからお願いしますって。でも冬夜、神様もサンタクロースもお父さんも、ほんとはみんな居ないんだよね」
どんなに願っても戻ってこない。
そして、たまに苦しそうに顔を歪める冬夜のこと。
冬夜まであっちに連れていかないで。
代わりに私ならどれだけ、傷付いても構わないから。
「小夏⋯⋯!!」
「と、冬夜。苦しいよ」
冬夜が私の身体を強く抱きしめる。
「なんでそんなに悲しいことを言う。なんで君は分かってくれないんだ。君が幸せで笑って生きてくれることが失われた人にとっての唯一の希望なのに」
「だって⋯⋯お父さんも冬夜も、今もきっと苦しんでるから。私はなにも出来ないから」
「そんなことない! 小夏が僕たちに幸せを惜しみなくくれたんだよ。君は知らないだろ。僕がその美しさや歌声にどれだけ救われているのかを⋯⋯」
「冬夜⋯⋯?」
冬夜は、泣いていた。
その潤んだ青い瞳をとても美しいと思った。
「君は知らないだろ。僕がどれだけ⋯⋯悲しいくらいに君を愛しているのかを」
突然、私の唇に彼の唇が重なる。
肩に触れた手は熱くて震えていた。
「ごめんね。もう二度としないから。忘れてしまっても構わないから⋯⋯」
待って、行かないで。
そう思ったのに、言葉は何も出てこなくて。
そうして永遠の暗闇に消えていった冬夜の背中を、私は呆然としたままいつまでもいつまでも見つめていた。
冬夜が居なくなったあの日のこと。
それはやっぱり雪の降った日で。
ホワイトクリスマスの夜だった。
お父さんが亡くなって迎えた何度目かのクリスマスで。
イルミネーションで輝いて見える街の明るさも、お父さんを思い出すから嫌いになっていた。
「小夏、今年のクリスマスプレゼントは何をお願いしたの?」
「毎年同じだよ。お父さんが帰ってきますようにって。代わりに私が居なくなってもいいからお願いしますって。でも冬夜、神様もサンタクロースもお父さんも、ほんとはみんな居ないんだよね」
どんなに願っても戻ってこない。
そして、たまに苦しそうに顔を歪める冬夜のこと。
冬夜まであっちに連れていかないで。
代わりに私ならどれだけ、傷付いても構わないから。
「小夏⋯⋯!!」
「と、冬夜。苦しいよ」
冬夜が私の身体を強く抱きしめる。
「なんでそんなに悲しいことを言う。なんで君は分かってくれないんだ。君が幸せで笑って生きてくれることが失われた人にとっての唯一の希望なのに」
「だって⋯⋯お父さんも冬夜も、今もきっと苦しんでるから。私はなにも出来ないから」
「そんなことない! 小夏が僕たちに幸せを惜しみなくくれたんだよ。君は知らないだろ。僕がその美しさや歌声にどれだけ救われているのかを⋯⋯」
「冬夜⋯⋯?」
冬夜は、泣いていた。
その潤んだ青い瞳をとても美しいと思った。
「君は知らないだろ。僕がどれだけ⋯⋯悲しいくらいに君を愛しているのかを」
突然、私の唇に彼の唇が重なる。
肩に触れた手は熱くて震えていた。
「ごめんね。もう二度としないから。忘れてしまっても構わないから⋯⋯」
待って、行かないで。
そう思ったのに、言葉は何も出てこなくて。
そうして永遠の暗闇に消えていった冬夜の背中を、私は呆然としたままいつまでもいつまでも見つめていた。


