キミのために一生分の恋を歌う② -last stage-

東条先生も呼ばれ、2人から、家族に私の状態が説明される。

「意識が戻り無事に抜管出来ましたが、小夏さんには逆行性健忘の症状が出ています。恐らく心停止したことによる後遺症かと思われます。どこまでの記憶が辿れるかはもう少し様子をみてとなりますが。お話だと、お母さんたち家族との記憶は残っていて、晴のことは忘れているようなので、ここ数年から数ヶ月の記憶をなくしているかと思われます」

「そんな⋯⋯!! お姉ちゃんは先生のことやもしかしたらbihukaのことも⋯⋯」

小春はついに堪えきれず大泣きした。
冬夜やお母さんがそばで慰める。

「小春さん⋯⋯まだ目覚めたばかりで記憶があいまいになるのは良くあることだから」
「でも、もしも思い出せなかったら!! 4日後にはライブもあるのに」
「大丈夫だよ、小春さん。今は小夏のことを信じよう」
「小春さん、そしてお母さまに、冬夜さん。貴方達のことは小夏さんの心の中に消えずに残っている。だからきっと貴方達がそばに居てくれれば小夏さんはとても安心するはずです。今はそばにいて、ただ話を聞いてあげてください。無理に思い出させようとすれば苦しむと思うので、なるべく楽しい雰囲気で、ね」
「佳史⋯⋯いや先生方、どうか娘をよろしくお願いします」
「勿論ですよ、茜さん。貴方もお元気そうでよかった」
「ありがとう⋯⋯」
「いいえ、あなたの娘さんはあなたにそっくりでしたよ。何があっても強い瞳が言うんです。『歌いたい』と」
「じゃあ、あの人にもそっくり⋯⋯だわ」
「母さん、小春もそれで安心できるなら、みんなでなるべく小夏のそばにいよう」
「ええ」

小春はまだ気持ちの整理がつかないようだったが、とぼとぼと2人の後をついて行った。