キミのために一生分の恋を歌う② -last stage-

それから救急車で運ばれた私は3日間、そのまま目覚めなかった。
肺炎も併発しており、一度は心臓も完全に止まったらしい。
それは陽菜さんとほぼ同じ状態だったけれど。
東条先生と晴たちが手を尽くしてくれて何とか蘇生した。
それでも意識は戻らずにかなり危険な状態だった。

「小夏、約束したでしょう。うちらずっと親友だって。絶交なんてさせないからね!!」

すみちゃんはお見舞いに来てくれて、ベッドのそばで私の手を握ってくれて、泣いていた。

40度を超える高熱の中、私は夢とも言えない夢を見ていた。

誰かと、一緒にいる夢。
私はその人のことが大好きで、ずっと一緒にいたいと思ってた。
だけどその人の声も匂いも、温もりも全部覚えていて、ひとつも忘れたくないって思ってたはずなのに。
何故だろう。
あとは何も思い出せなかった。

「続きは小夏が心から元気になって笑えるようになった時に。ちゃんと約束するから」

何を、約束したの?
誰と、約束したの?
私、なくしちゃった。一番大事なものーー

「小夏⋯⋯!! 目が覚めたのね」
「良かった」
「お姉ちゃん⋯⋯!!」

みんなが、家族が、泣きそうな顔で私を見ている。
ここは病院だ。
ああ、またいつもみたいに倒れちゃったのか。

私は起き上がって皆に謝ろうとした。

「小夏、待って。まだ口の中に管が入ってるから。今から抜くよ」

誰かにそれを止められて、はいちょっとだけ苦しいよって言われているうちに口の中から管が外される。

「ゲホゲホッ……」

途端咳き込む私を見て、その人は背中を撫でてくれる。

「すみ⋯⋯ません」
「大丈夫だよ。喉の違和感は少ししたら収まってくからね。あと小夏は3日も眠ってたんだ。すぐに起き上がるのは無理だから」
「は……い……」
「おい小夏⋯⋯?」
「は……はい?」

その人は不思議そうな顔で私の手を握ってきた。
何だかよく分からなくて、私は手を振り払ってしまった。
怖くて、怯えるように睨みつけてしまう。

「僕が誰か分かるか?」
「先、生⋯⋯?」
「名前は?」
「知ら、ない⋯⋯です」

そう言った時、その人はすごくびっくりした顔をしていた。
そして、とてもとても悲しい顔をしていた。

「ちょっとお姉ちゃんどうしたの! この人は⋯⋯」
「良いんだ小春さん。ちょっとご家族と話をしたいので、小夏さんにはこのまま休んでいてもらって、こちらにお願いします」

その先生は、家族と一緒に外へ出ていった。